死亡事故の場合、脊髄損傷や遷延性意識障害などの重度後遺障害の場合とかなり状況が異なります。
重度後遺障害の場合は、基本的に事故の直後には弁護士があまり関与する事はないのですが、死亡事故の場合は逆に事故の直後が大切です。
まず最初に検討すべきことは、加害者を刑事告訴するかどうかという点です。
裁判をして刑事告訴の手続きをするかどうか・・・
死亡事故の場合は、加害者を刑事告訴するかどうかを検討する必要があります。
ご遺族の方のお気持ちによって、弁護士は刑事告訴の手続きを行うことができます。
もちろん遺族の方が刑事告訴されなくても、加害者は処罰され、一定の刑が与えられます。
しかし刑事告訴の手続きをとると、警察の方が被害者に対してより親切になる可能性があります。
「事件の実際のところはどうだったのか」ということを知りたい場合は、刑事告訴をされた方がよいでしょう。
刑事告訴を希望される方は、プロの弁護士が力にならせていただきますので、ご相談ください。
裁判では逸失利益が損害賠償額の分かれ目に
死亡事故の損害賠償のポイントとなってくるのは逸失利益の金額です。
逸失利益というのは、「死亡事故があったことによって将来的に本来その人が稼ぐべきであった金額」を意味しています。
その評価というのが、かなり大きく問題になってきます。
特に、被害に合われた方が主婦の場合や、学生の場合には、保険会社が逸失利益を安く見積もろうとすることがあるので注意が必要です。
1.被害者の方が主婦の場合でよくある例
保険会社が「主婦だから働いていないので、給料がないので、将来給料を貰う事もないので、逸失利益はないですよ」と主張することがあります。
しかし、現実は違います。現在の裁判例では、「主婦は家事をしているため、家事労働分の逸失利益がある。家事を他人にお願いしたら結構月に10~20万かかる。本来それくらいの仕事をしているわけだから、主婦にも逸失利益は存在する」と主張できるわけです。
ただし、それをどのように評価するのかという問題はあります。
主婦の場合、全学歴、全年齢平均という統計資料を使用します。
中学校卒、高校卒、大学卒、それぞれの学歴ごとに、平均的な賃金を算出していきます。
この計算によると、主婦の年収は350万円くらいになりますので、逸失利益を諦める必要はまったくないと言えます。
2.被害者の方が大学生や若い方の場合
たしかに大学生である間は給料はないわけですが、近い将来働くことになりますので、そこを計算に入れる必要があります。
大学生であれば、大学卒の平均賃金をもとに生涯の平均賃金が算出できます。
大学生だから賃金がないというわけでは決してないのです。
これは大学を卒業したての若い方、概ね20代くらいの方についても同じようなことが言えます。
若い方の場合、一般的には賃金がまだ高くない事が多いです。しかしその方が50代になった場合は、収入が増える可能性が高いです。ですから、20代の死亡時の給料で逸失利益を計算するとなると、かなり不合理な結果になります。
実際は今現在の給料ではなく、将来を含めた全年齢平均の賃金で考える事が多いです。
このように、逸失利益に関してだけでも、実際の裁判のなかでは多くの論点があります。
死亡事故に合われた場合は、すぐにでも弁護士が関与できますので、お気軽にご相談ください。
死亡事故に関してのお役立ち情報
死亡事故に関して、治療のことや法的なアドバイスなど、被害者の方のお役にたつ情報をご紹介しています。
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死亡事故の加害者は本当に賠償金を払ってくれる?
死亡事故の加害者が任意自動車保険の対人無制限に契約していれば高額の賠償金の支払いを受けられますが、そうでない場合は被害者請求をして自賠責保険の保険金を受け取りましょう。
死亡事故の賠償金のうちわけ【積極損害】
積極損害とは、被害者が死亡した交通事故が原因で発生した費用のことです。被害の大きさを賠償金額に表して加害者に請求することは、被害者遺族にとって欠かせないことです。
誰が死亡事故の損害賠償請求をするのか?
死亡事故の損害賠償請求は、亡くなられた方の相続人が行います。複数の相続人がいる場合は、相続人の代表者が加害者側の保険会社と示談交渉をすることになります。
死亡事故の賠償金が少なすぎることに納得がいかない場合は?
死亡事故の賠償金が少なすぎるのではないか…と不満を抱いたら、まずは交通事故に詳しい弁護士に相談して、正当な賠償金を請求してもらいましょう。
被害者が亡くなった死亡事故で正当な賠償金を受け取るには?
被害者が亡くなった死亡事故は、加害者の主張だけ聴いていると正当な賠償金を受け取れない可能性があるので、実況原文調書を入手するなどして反論しましょう。
死亡事故で被害者の過失が大きいと言われたら?
死亡事故でも、被害者の過失割合が大きければ、損害賠償金が大幅に減額されることがあります。交通事故に詳しい弁護士に相談し、事故の詳細な検証を行い、正当な金額の賠償金を要求することをお勧めします。
死亡事故の近親者慰謝料を請求したら慰謝料の総額は増える?
死亡事故の慰謝料は、本人に対する慰謝料と近親者慰謝料がありますが、近親者慰謝料を積極的に請求することにより、ご遺族の悲しみを訴えて慰謝料が増額する可能性があります。
忙しくて死亡事故の示談交渉で話し合う時間がなかったら?
仕事が忙しくて家族の死亡事故の賠償金について話し合う時間がなかったら、弁護士を代理人にして保険会社と示談交渉をしてもらうのが望ましい。
死亡事故で争点となりやすい過失割合について
保険会社は、自分たちに都合の良い判例を参考にして過失割合を主張することが多い。死亡事故の過失割合に納得できなかったら、弁護士に相談して十分な証拠を揃えて反論すべきである。
遺族が死亡事故の刑事裁判手続きに参加するためには
家族が死亡事故に遭った場合、遺族は刑事裁判の手続きに参加して、検察官の隣りもしくはそばに座り、証言をしたり被告人に質問することが可能である。