死亡事故で争点となりやすい過失割合について
死亡事故に遭った家族の葬儀を済ませ、あわただしい日々が一段落すると、やがて加害者と損害賠償について話し合う時期が訪れます。
加害者が任意自動車保険に加入しており、保険会社が示談の代行をする場合、故人の四十九日を過ぎたころに示談交渉についての連絡が入るのが一般的です。
しかし、示談交渉の内容が必ずしも被害者の希望通りになるとは限りません。
加害者と被害者の過失割合が最大の焦点となり、双方の意見が食い違う原因となります。
生存している加害者は、自分の過失割合が有利になるように事故当時の状況を説明できます。
しかし、加害者がどんなに状況をねじ曲げて説明しても、亡くなった被害者は異議を申し立てられません。
そのため、死亡事故は、過失割合でもめることがとても多いのです。
亡くなった被害者の過失割合に納得できなかったら、十分な証拠を積み重ねて反論するべきです。
なぜなら、過失割合は損害賠償金額に影響するからです。
損害賠償金額が1億円で、過失割合は加害者60:被害者40のケースでは、被害者は1億円の損害賠償金の6割である6000万円を受け取ります。
死亡事故は損害賠償金が高額なので、過失割合によって受け取れる賠償金が大きく変わるのです。
さらに、被害者が事故責任の多くを負うというのは、遺族も納得しがたいでしょう。
死亡事故で、加害者が主張する過失割合に納得できなかったら、弁護士に相談するなどして、納得できる過失割合を相手が認めるまで話し合いを続けることをお勧めします。
保険会社が過失割合を決める方法は?
保険会社は、交通事故における過失割合を、警察が作成した交通事故証明書をもとに決めています。
むろん、1通の証明書を読んでただちに過失割合を決めるのではなく、過去に起きた交通事故の判例のなかから類似の事故を探し出し、その類似事故を根拠に、死亡事故の過失割合を被害者に提示するのです。
しかし、まったく同じ交通事故というものはなく、発生した時間、天候、当事者の運転技術、道路の状況など、事故が起きた要因は事故ごとに異なります。
保険会社が類似の交通事故を参考にするにしても、複数の類似事故のなかから、自分たちに最も都合の良い判例すなわち過失割合が加害者に有利な判例を引き合いにしている可能性もあるでしょう。
そのような状況で示談交渉を進めるのは、あまりにも被害者に不利です。
死亡事故の遺族の方は、交通事故に詳しい弁護士と相談して、加害者主導で示談が進まないよう、十分な証拠を集めることをお勧めします。
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保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。
死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕される。最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。
交通死亡事故でひき逃げや飲酒運転、証拠隠滅など加害者に悪質な事由がある場合、慰謝料が増額された判例がある。賠償金額が大きく違ってくる可能性があり、交通死亡事故に強い弁護士へ相談すべきである。
死亡事故の加害者側に弁護士がついた場合には、被害者遺族からすると「口達者な弁護士に押し切られる」といったケースに陥りがちなので、早急に弁護士に相談をして、対応策を考えた方が良い。