遷延性意識障害患者の自宅介護で必要となるケアについて
交通事故で遷延性意識障害を負った被害者は、リハビリ主体の長期療養型病院は多くはないため、自宅での介護も視野に入れていかないといけません。
自宅介護を選択する場合は車いすに対応できる家屋の改造が必要です。
段差にはスロープを設置し、床は車いすの移動に耐えられる耐久性が求められます。
家屋の改造が可能かどうかをまずは業者に相談するのがよいでしょう。
痰の吸引や口腔ケアも重要になります。
痰の吸引は医療行為となり、医師や看護師から吸引のケアについての指導を受ける必要があります。
口腔ケアは口内細菌が減って肺炎のリスクが減少する理由になるものです。
排泄のケアも同時に行っていかないといけないケアになります。
週に2回ほどは排便するようにし、排便の際には肛門周辺をきれいに保って肛門周囲皮膚炎の予防に努めるのが大切です。
褥瘡のケアも大変であるのは間違いありません。
こまめに体位の変換をしていかないといけません。
体力面を考えると上体を起こすだけではなく、体を左右に向ける機能の付いたベッドを導入するのもひとつの方法です。
入浴のケアをするにしても、遷延性意識障害を負った人が安全に入浴できる設備を整える必要があります。
少なくとも3畳以上のスペースが必要であり、特殊な浴槽や設備が必要です。
室温や空調のケアをする場合は空気洗浄機の用意や24時間換気システムなどが整った部屋を用意しないといけません。
自宅介護を勝ち取るためには
遷延性意識障害における自宅介護と施設介護では賠償金に大きな差が生じます。
どちらを選択するかが重要な判断になるのは間違いありません。
保険会社は遷延性意識障害患者の余命年数は短いという主張をしてくることもあります。
しかし、寝たきりの状態でも健常者と同じように長生きすることは可能です。
ご家族で十分に介護をしていけることを客観的に示す必要があります。
介護のしやすい住宅に改造するとともに、職業介護人をうまく利用することで、遷延性意識障害患者のケアもくまなく行え、介護するご家族も十分な休息を取っていけます。
自宅介護を選択するにあたって、必要な資料を用意するために弁護士に依頼するのがおすすめです。
保険会社からすれば、自宅介護を選択した場合は賠償金が多くなるため、施設介護を選択するよう勧めてくる場合もあります。
事前に保険会社と対等に交渉していくためには準備が必要です。
自宅介護を勝ち取るために弁護士に依頼するのは適切な判断です。
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交通事故により負った遷延性意識障害の示談をする場合、将来的な介護も考えて交渉しなければいけないので、弁護士に相談をして示談交渉を進めるとよい。
遷延性意識障害となった交通事故の示談で患者家族が満足する示談内容を保険会社が提示してくることはないので、弁護士に依頼をして示談交渉を行う方が良い。
遷延性意識障害患者の在宅介護を保険会社や裁判所に認めさせるためには、無理のない在宅介護のプランを立てる必要がある。
交通事故により遷延性意識障害となった場合の示談の時効は、交通事故後3年ではなく症状固定後3年になるため、時効を気にして無理に症状固定をする必要はない。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合、家族だけが介護をするのではなく、職業介護人を用いてする方が負担が軽くなり、費用は加害者側に請求することが出来る。