遷延性意識障害の損害賠償請求において意識すべきポイント
遷延性意識障害は、交通事故で負う後遺障害の中でも、かなり深刻かつ重症であるものと言えます。
昏睡状態に陥るため、ご家族の悲しみも計り知れません。
もし交通事故で遷延性意識障害となってしまった場合、大切なのは加害者に対する損害賠償請求です。
通常、遷延性意識障害の被害者に対しては介護を一生行っていく事が必要となります。
加害者に対して、この介護に関わる費用を損害賠償として請求できます。
仮に家族だけで介護していくと決めた場合にも、相応の介護費用は請求できるものの、現実的に考えると決して簡単ではありませんし、困難が生じる可能性もあります。
そのため、専門の介護人を雇うというのが、一つの選択です。
ご家族で介護をしていくつもりで、精神的かつ身体的にご自身を休める時間も必要と考えられるため、週2回や3回程度、介護人を雇うように考えてみるのも良いかと思います。
自宅の改装費も請求する
加害者には、介護費用だけでなく自宅の改装費用も損害賠償として請求できます。
実際に介護を行っていく事を考えると、自宅に十分な設備が整っていないというのがほとんどです。
介護が必要になるのを機に、自宅を新築したり、あるいは改築したりする例も珍しい事ではありません。
遷延性意識障害の患者を介護するには、ベッド、リフト、お風呂の改装、エレベーター、移動用の車など、さらにはオムツ等の消耗品も必要になります。
これらは、遷延性意識障害を理由に介護が必要となった場合、加害者への損害賠償請求に含むことができます。
しかし注意しなければならないのは、全額認められるかどうかは交渉次第である事です。
また、エレベーターや車などに関しては、必要であるという正当な理由も用意しなければならないでしょう。
ご家族や職業介護人が介護をするための費用、そして介護をするために必要な改装費用などを請求するのに保険会社へ交渉するのは、一個人が対応しても困難に直面する可能性が考えられます。
正当かつ正確な賠償金を請求し、確実に手続きを進めていくためには、やはり弁護士の力が求められる部分が多くなってくるはずです。
被害者が遷延性意識障害になられた事で、ご家族の精神的な負担も計り知れないため、細かい手続き等に関しても、弁護士に依頼すると負担を軽減できます。
介護費用や改装費用のみならず、後遺障害等級に基づいた慰謝料や逸失利益、治療費などの請求もありますので、弁護士からアドバイスをもらうか、一件を任せるほうが安心でしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償金額を計算するので争点になりやすい。
交通事故によって遷延性意識障害を負った場合、自宅介護を選択した方が賠償金額は高額になる。しかし、自宅介護をしていける環境にあると客観的に示さないといけない。
遷延性意識障害における逸失利益を算出するにあたって、被害者の余命年数や生活費が問題として取り上げられやすい。場合によっては生活費が控除されるなど、賠償金が安くなる可能性がある。
交通事故が原因で遷延性意識障害となった後は、ご家族あるいはヘルパーにおける介護が求められる。将来的に介護をしていく上でいくつかの注意点がある。
遷延性意識障害は基本的に介護が必要となる。職業介護人を雇う、あるいはご家族が介護をするにしても、加害者側へ介護費用を請求できるため、弁護士を雇い、相手の保険会社と交渉してもらうのが望ましい。