遷延性意識障害患者の介護で補償される介護費用は?
交通事故の被害者が遷延性意識障害となった場合、基本的に将来にわたって介護が必要となります。
そうすると当然、介護費用もそれなりにかかってきます。
交通事故における過去の判例では、将来的にかかる介護費用に関しても損害の一つと認められているため、加害者に請求することは可能です。
実務上の基準とされる赤い本では、職業介護人については実費全額で、近親者が介護をする場合には1日あたり8000円という基準があります。
というものの、実際に遷延性意識障害患者への介護がどういったように行われるのかにより必要となる介護費用は異なるため、介護がなぜ必要で、どういった器具が必要なのか、具体的に主張する事が求められます。
いずれにしましても、専門の方を雇う場合、ご家族で介護される場合のどちらになったとしても、介護費用は補償されるため、被害者のご家族が実費で支払うというものはほとんどありません。
介護に使われる細かい雑費に関しても請求できるのです。
介護費用は高額になりやすい
将来的な介護費用も含めて請求できるため、交通事故で遷延性意識障害となった場合の介護費用は高額になりやすいです。
なぜなら、将来的な介護費用は平均余命まで認められる判例が多いからです。
例えば30歳の男性が交通事故により遷延性意識障害となり、その後50年生きる統計が出ていた場合、細かい控除があったとしても50年分の介護費用が請求できます。
また、介護費用というのは実際に職業介護人を雇う費用であったり、近親者が介護をしたりする際にもらえる日当に限りません。
自宅に介護を安全かつ適切に行える環境が整っていない場合、そういった設備を整える費用も請求できます。
具体的にはベッドであったり、用便に必要な器具だったりする等、細かいものまであげると複数にわたります。
しかし、個人で保険会社と交渉しても、遷延性意識障害患者はそうではない人に比べて死亡率が高いなどという理由から、正当な金額を提示されない場合があります。
かといって被害者は保険会社のいいなりになり、提示された金額をそのまま鵜呑みにする必要はありません。
より適正な賠償金を受け取りたいという場合には弁護士を雇い、相手の保険会社と交渉してもらうのが望ましいでしょう。
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遷延性意識障害患者の家族が就業しており、家族での介護が難しい場合でも職業介護士を雇って介護することは可能であるため、示談時に将来的な介護費用を請求するとよい。
遷延性意識障害患者の将来的な介護費用は若年の患者であるほど高額となるため、将来的な介護プランをきちんと立ててから、加害者側に請求を行った方が良い。
交通事故により遷延性意識障害となった場合、自宅介護を認められるにはいくつかの条件がある。裁判で認められて適正な介護費用を提示されるためには、弁護士に依頼するのもひとつの手である。
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償金額を計算するので争点になりやすい。
交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。