遷延性意識障害で成年後見人を依頼すると報酬が発生する?
交通事故で遷延性意識障害となった被害者は、意思を伝えたり自分で動くことができなくなります。
遷延性意識障害となった被害者が不利益を被ることがないように、被害者の代わりに法律行為を行う成年後見人を、家庭裁判所へ申立て選任します。
成年後見人は、被害者の代わりに預貯金などの財産を管理し、必要な契約行為などを代行、同意、取り消しする権限を持ちます。
とても重要な役割ではありますが、成年後見人になるために何か特別な資格や能力が必要なわけではなく、原則的に誰でもなることが可能です。
通常は、遷延性意識障害患者の家族や親戚といった親族、近親者がなるのが一般的であり、未成年者や以前後見人を解任されたことがある方、破産者、被害者に対し訴訟を起こした方やその配偶者・血族、行方の分からない方は、成年後見人になることはできません。
適切な方がいない場合には、弁護士に成年後見人となってもらうことも可能です。
成年後見人には責任があり、一年に一度は被後見人の資産状況を報告する義務があるなど、決して楽なものではありません。
そこで成年後見人は、被後見人である交通事故被害者から、一定の報酬を受け取ることができる決まりになっています。
請求しない限り費用は発生しないので、家族が後見人の場合には特に金銭のやり取りは発生しないのが一般的ですが、弁護士に後見人となってもらう場合には、被後見人の財産から毎月一定額を支払うことになります。
成年後見人には報酬を支払うルールが
報酬額は当事者で話し合って決めるわけではなく、裁判所への申し立て時に決められ、裁判所によって設定は自由ですが、月額2万円程度の基本報酬が一般的です。
管理する財産が5000万円を超えるような場合は月5万円程度になることもありますし、後見人に困難な事情などがある場合に付加報酬が認められる例もあります。
財産が少ない家庭で弁護士に成年後見人を依頼する必要があるときには、このような毎月の支払いが発生することを知っておく必要があるでしょう。
この報酬は、被後見人の病状が回復しない限りずっと支払い続けるものであり、支払い総額はかなり大きな費用負担です。
この報酬は、交通事故の損害賠償請求に含めることができます。
参考になる判例として、遷延性意識障害となり、後遺障害等級の1級1号に認定された被害者から損害賠償を求めた裁判では、成年後見人の就任以降、13ヶ月分の自賠責保険回収などを行ったことに対する報酬83万円、さらに余命を29年間と想定し、月額2万円にライプニッツ係数をかけた金額を足して、合計約381万円を、成年後見人の報酬分として損害賠償に含めることが認められています。
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交通事故により遷延性意識障害となった場合、自宅介護を認められるにはいくつかの条件がある。裁判で認められて適正な介護費用を提示されるためには、弁護士に依頼するのもひとつの手である。
交通事故の被害者になり、遷延性意識障害となってしまった場合、将来的な転院のための移動費用、さらには介護費用等も視野にいれるべきである。今後を見据えて、適切な慰謝料の請求を行うのが望ましい。
成年後見人は親族が良いとの最高裁判所の見解があるが、遷延性意識障害患者家族の状況によっては成年後見人となることが困難な事もあるので、弁護士に成年後見人となってもらう方法もある。
遷延性意識障害の自宅介護のためにリフォームする場合、リフォームの箇所が認められなかったり、加害者側がリフォーム費用を支払ってくれないといったケースがあるため、事前に弁護士に相談をした方が良い。
遷延性意識障害となった交通事故の加害者に裁判を起こす利点は、損害賠償金などの増額があるが、欠点もあるため弁護士の相談の上裁判をするか決めた方が良い。