遷延性意識障害となり裁判を起こすメリットとデメリットとは
交通事故に遭われた遷延性意識障害患者の家族の中には、加害者や加害者の保険会社との示談交渉がうまくいかずに、裁判を検討されている方もいるのではないかと思います。
しかし、実際に裁判となると様々な疑問が浮かんできて、踏み切れないでいる遷延性意識障害患者の家族も大勢いると思います。
遷延性意識障害を負った交通事故の示談で、加害者や加害者の保険会社を相手取って裁判を起こした際の、メリットとデメリットを説明していきたいと思います。
金額面で有利な裁判
裁判をした際の大きな利点は、損害賠償金や慰謝料などの加害者から支払われる金額の増額です。
交通事故の保険金額には3つの基準があり、「自賠責基準」「保険会社基準」「裁判所基準」と言われています。
自賠責基準が一番低い金額で、次に保険会社基準ですが自賠責保険に少し上乗せした金額と考えた方が良いです。
裁判所基準は実際の損害等に基づいた判例の金額であるため、自賠責基準や保険会社基準と比べ、数倍の開きが出ることも珍しくありません。
また、裁判においては事故当時の状況説明や加害者への尋問など、刑事裁判とは別に行うことが可能であるため、刑事裁判に不満がある場合には、民事裁判で遷延性意識障害となった交通事故の究明をしたいと考える患者家族もいます。
他には、交通事故による賠償の請求権は交通事故から3年間なのですが、裁判を起こすことで時効の停止がされますので、落ち着いて加害者側と交渉できるという利点もあります。
時間や費用面の欠点も
裁判を起こす欠点は、時間がかかりすぎるということと費用面です。
裁判を起こした場合、数カ月~数年かかって判決が下されるため、両社の合意があれば終わる示談と比べて時間がかかる事の方が多いです。
費用面では、損害賠償請求に応じた裁判費用を裁判所に納付せねばならず、さらに弁護士を雇って裁判を進行させる場合には弁護士費用が発生します。
そのため、裁判費用だけでも何百万円とかかることもあり、裁判を起こすことをためらわれる原因の一つとなっています。
さらに意外に重要なのが、裁判の際には医師の医学的見解や公的な証明などは、被害者側が証拠を提出し立証する必要があります。
つまり、裁判をするにあたって、遷延性意識障害の患者側は証拠を提出して、それが裁判所に認められなければ、裁判に勝てないということです。
しかし、示談の場合は証拠の有無にかかわらず、両者の合意さえあれば良いため、証拠固めの段階で不安がある場合には、裁判の一歩手前の状況で和解するのも得策なケースもあります。
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遷延性意識障害となった交通事故の加害者と連絡が取れなくなった場合には、内容証明郵便や住民票からたどる方法のほかに、刑事裁判の方からアプローチする方法もある。
遷延性意識障害の方には成年後見人の選任が必要なことが多いですが、弁護士に依頼する場合などでは毎月、報酬の支払いが発生する。総額としては大きな費用で、損害賠償に含められる。
遷延性意識障害となった被害者は意識不明のため主張ができず、加害者の言い分に沿った過失割合での示談成立になりがちなため、弁護士と相談してきっちり反論する必要がある。
遷延性意識障害となった交通事故の加害者が、対処をしてくれず、連絡がつかない場合には、自賠責保険や任意の自動車保険会社に被害者請求をすると良い。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合には、おむつ以外にも衛生管理用品が必要となり、費用が負担となる事がある。弁護士に示談を頼んでおけば、そういった費用も含めて請求をしてもらえる。