遷延性意識障害患者で当座の生活費を確保するには?
「遷延性意識障害と仮渡金」でも触れましたが、交通事故に遭われて当座の生活費に困ると言う事は良くあります。
自賠責保険や損保会社には仮渡金の制度もあるのですが、「自賠責保険への請求手続きがめんどうくさそう」「加害者に対して許せない気持ちがあるので、先に保険金を受け取ることに抵抗がある」「加害者側の保険会社に仮渡金をお願いしたが、なんだかんだ理由をつけて断られた」と、仮渡金をあきらめる方も少なからずいます。
また、生活費を確保するために、遷延性意識障害の被害者家族が消費者金融からお金を借りたと言うケースや、本来ならば補償されるべき立場なのに金銭的に困って泣く泣く低額の保険金で示談に応じる人もあります。
こういったことを少しでも減らすために、遷延性意識障害の患者や患者家族側で出来る生活費の確保の方法をいつかご紹介します。
生命保険と健康保険を活用しよう
まず一つ目は、遷延性意識障害の患者が任意加入している生命保険の請求をすることです。
一般的な生命保険であれば入院特約が付帯していますので、入院日額1万ならば1カ月で30万円の給付が受けられます。
「退院してからでないともらえないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は入院中でも請求することができ、仮に120日限度であった場合は30日ごとに4回請求すると言ったことも出来ます。
特に遷延性意識障害の場合、生命保険では死亡・高度障害保険金の支払い要件と認められることが多いため、医療機関から遷延性意識障害の確定の診断がおりた時点で保険会社に請求をすると、まとまった金額を受け取ることができます。
もう一つは、加入している健康保険組合から傷病手当金を受け取る方法です。
交通事故の場合、普通の傷病と違い「第三者等の行為による傷病(事故)届」などが必要となりますが、月給の約66%が最大1年半支給されますので、長期にわたり生活費が確保できるのが利点です。
ただし、交通事故による傷病手当金の給付を受けた場合は、健保組合が加害者や損害保険会社に支給した傷病手当金を請求することになりますので、示談後に損害保険会社から受け取る休業補償金から差し引かれる形になります。
つまり、健保組合が損保会社の休業補償の一時的な立替えをしていることになります。
また、住宅ローンや消費者金融ローンなどは、契約者が遷延性意識障害となった場合、支払いの一時的な猶予や全額免除となるものも多いので、そういった手続きをして支払いを減らすと言う方法もあります。
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遷延性意識障害による損害を考えるうえで、平均余命の決定は避けられない。平均余命は賠償金の支払いを一時金賠償とするか定期金賠償とするかのメリット・デメリットにも影響し、慎重に検討する必要がある。
遷延性意識障害となった交通事故の加害者が、対処をしてくれず、連絡がつかない場合には、自賠責保険や任意の自動車保険会社に被害者請求をすると良い。
遷延性意識障害の保険金の算出の際には、余命と生活費控除が争点となる事が多く、保険会社の主張は被害者に対して圧倒的な不利となる事が多い。
交通事故の示談交渉で保険会社から遷延性意識障害患者の余命は10年ほどとの主張がなされる時があるが、裁判所は平均余命を採用している。
18歳~64歳の遷延性意識障害患者は、介護保険等の公的な支援が受けられず、手当てが少なくなるため、加害者側に十分な介護費用を請求する必要性がある。