遷延性意識障害の医療費の軽減について
家族が交通事故で遷延性意識障害となった際に、一番気になるのが医療費だと思います。
交通事故の場合は、加害者側の保険会社から治療費が支払われますが、遷延性意識障害となった患者に過失が有った場合には、加入している保険の内容によりますが、自己負担の可能性があります。
また、0:10で遷延性意識障害患者の治療費を加害者側が全額負担をしている場合でも、示談が済んでしまうと自己負担となってしまいます。
もし、健康保険の自己負担額が30%で月の入院費が100万円でしたら、30万円も自己負担しなければなりません。
高額医療費制度を使っても、月収30万円の世帯ならば、100万円の入院費に対して87,430円の負担をしなければいけないため、決して安い金額ではないことが分かります。
遷延性意識障害の患者が健常者の余命と同じになる事も珍しくなく、治療費が何年・何十年とかかるとなると、何百万何千万円の負担になるため、医療費の軽減は重要な課題と言えます。
自治体独自の医療費の補助を活用
「遷延性意識障害ならば身体障害者一級だし、医療費の負担はないのでは?」と言う方もいますが、それは間違いです。
身体障害者1級であっても、それが直接的に医療費の軽減には結びつきません。
身体障害者手帳を持っていることで、医療費が無料もしくは月500円程度の軽微な負担であるのは、住んでいる自治体が独自で行っていることなので、全国一律のものではありません。
自治体によっては、医療費の軽減には所得制限があったり、医療費の軽減自体がないこともあります。
反対に身体障害者の認定を受けていなくても、遷延性意識障害の診断書を持って申請をすれば医療費や介護費用を無料としている自治体もあり、身体障害者の認定に時間がかかる場合でも、先行して医療費の軽減が受けられるため、非常に心強い制度といえます。
遷延性意識障害の患者家族の中には、こういった制度があることを知らず、治療費の支払いに困り借金をしたり、家を売り払ってしまったりする痛ましいケースもあるため、交通事故直後から医療費に対する国や自治体・健康保険組合の補助について調べる必要があります。
また、保険会社と示談をする際に安易に「医療費の軽減があるから大丈夫」と考えると危険です。
先に述べたように医療費の軽減は自治体が独自に行っているものですので、将来的には廃止される可能性もあるため、遷延性意識障害の患者が一生涯安心して過ごせるだけの医療費を確保するようにしましょう。
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遷延性意識障害の症状固定は、莫大な治療費の問題と絡んでいるので、弁護士と相談の上、慎重に決めた方が良い。
交通事故により遷延性意識障害となった場合の示談の時効は、交通事故後3年ではなく症状固定後3年になるため、時効を気にして無理に症状固定をする必要はない。
症状固定後は加害者に治療費は請求できないが、遷延性意識障害の場合、将来的な治療費や介護費を示談時に請求することができるため、弁護士に相談するのが望ましい。
交通事故で遷延性意識障害となっても、個室の利用料を加害者側に支払わせるのは難しいと言える。
遷延性意識障害から回復したとしても、身体障害者1級の要件をクリアし続けていることが多いので、急いでしなければいけない手続きは皆無である。