脊髄損傷で入院しても6ヶ月で退院しなくてはならない?
脊髄損傷は、症状がなかなか好転しないので、入院期間が長期になる傾向があります。
特に、重度の脊髄損傷の場合は、自宅療養が困難で、入院生活を続けざるをえなくなります。
入院2カ月後には療養型施設へ転院することになりますが、いずれにしても、最長で6カ月程度で退院するよう勧められます。
これは国の方針により、入院している患者に請求できる健康保険の点数が、入院日数によって漸減するためで、病院がいじわるしているのではないですが、患者にとってはつらい選択です。
6カ月というしばりは、2002年に設けられたもので、同じ病気やけがが原因で別の病院へ移っても、最初の病院から通算した入院日数が180日を超えたら、難病、がん、重症、小児などを除いて、健康保険の対象となるのは入院基本料の85%で、残り15%は患者の自費負担になります。
最重度の脊髄損傷の場合は、6カ月以上療養生活を送ることができますが、そうでない方は、受傷後6カ月経ったら退院することを視野に入れ、帰宅後の生活設計を考えましょう。
退院すなわち完治ではない
入院が終わり退院して自宅で生活するようになったからといって、脊髄損傷が完治したわけではありません。
退院後にうまく社会復帰できる人もいらっしゃいますが、多くの場合は、通院によるリハビリテーションで脊髄損傷の後遺症を軽減させる努力をしています。
リハビリテーションは、時には数年に及ぶので、費用がかさみます。
症状固定をするまでの医療にかかる費用は、交通事故の加害者が契約している任意自動車保険会社が支払います。
しかし、症状固定をして退院したらその後のリハビリテーションにかかる費用は100%被害者の負担です。
健康保険が適用されて1割~3割負担になったとしても、何年間もリハビリテーションに通えば、その出費は被害者の大きな負担となります。
加害者が交通事故を起こさなければ脊髄損傷にはならず、リハビリテーションにお金を使うこともなかったのですから、リハビリテーションに関する費用は、なんとしてでも加害者に負担してほしいものです。
症状固定後に開始する加害者との示談交渉において、正当な後遺障害慰謝料を受け取ることで、退院後のリハビリテーションに伴う出費を心配せずにいられます。
被害者の健康回復のためには、十分な賠償金を取得することが非常に重要です。
そのためにも、早い段階で交通事故に詳しい弁護士に連絡を取って、今後の対応について相談することをお勧めします。
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脊髄損傷の治療で、保険を適用して再生医療を受ける場合には、期限や条件があるため、治療を希望する場合には速やかに手続き等を進める必要がある。
交通事故の脊髄損傷の治療で、保険適用外の治療費は加害者や加害者の保険会社が認めることはほとんどないため、事前に保険会社に確認をしてからの方が良い。
脊髄損傷となった患者の約半数は交通事故が原因だが、脊髄に血液を送る血管の血流が途絶えて脊髄に血液が流れなくなることが原因でも脊髄損傷は発症する。
脳の底部から背骨へと延びている太さ約1cmの神経である脊髄を交通事故などの外部からの衝撃で傷付け、さまざまな病状を発症するのが脊髄損傷である。
脊髄損傷による損害賠償の内訳は、大きく分けて積極的損害と消極的損害の2種類があり、もともとの損害に対する補償の性質が異なる。