脊髄損傷での積極的損害と消極的損害、違いとは?
脊髄損傷の症状は個人差が大きいため、交通事故の損害賠償金も100万円程度の物から1億円を超える金額となるものもあります。
交通事故に疎い一般人ですと、損害賠償金の内訳に対してあまり理解せずに示談していることもありますが、一口に損害賠償金と言っても、大きくわけると「積極的損害」と「消極的損害」の2種類に分類されます。
積極的損害とは、主に脊髄損傷患者が支払った金銭に対しての損害を言います。
交通事故の脊髄損傷の入院費や通院での治療費がこれにあたります。
重度の脊髄損傷の場合には、医療費が莫大にかかる可能性もあるため、加害者側の保険会社が治療費については最初から病院に支払うことで、被害者の負担を軽減するのが一般的です。
また、入院中にかかるテレビ代や飲み物代などは入院雑費として支払われます。
以前はレシートの提出を言われていましたが、現在は1日1000~1500円ほどを定額化して、入院日数分を支払う形が多いです。
他にも、通院にかかる交通費も積極的損害として認められ、重度の脊髄損傷の場合にはタクシーの利用が認められた判例もあります。
また、脊髄損傷の身体的損害以外の物損部分でも、交通事故により壊れた自動車の修理代や汚れた衣服などの弁償代も積極的損害に含まれます。
消極的損害とは?
積極的損害は交通事故により発生した出費のことを指すのに対し、消極的損害は交通事故により受け取れなかった利益の事を指します。
交通事故による脊髄損傷で入院や通院により、会社を休んだことによる給料の減額がこれにあたり、「休業補償」という名目で補償されます。
また、脊髄損傷の後遺症により、現在の仕事を続けることが困難、もしくは仕事量を減らさなければいけない状況であれば、その減収を逸失利益として請求できます。
逸失利益の計算には後遺障害等級による労働能力喪失率が関係してきますので、現在の仕事が出来なくなり失業したとしても、別の軽労働ならば従事できるとして、現在の給料の100%が補償されるとは限りません。
例えば後遺障害等級7級であれば56%であるので、給料の56%は逸失利益として認められますが、残りの44%については補償されないことになります。
このため、同じ脊髄損傷患者でも「車椅子の生活になったが、事務職であったので元の仕事に戻れた」という場合に比べ、「手先がしびれるだけだが、繊細な手書き織物の仕事をしていたので、廃業した」という場合では、かなり事情が違ってきます。
このような場合は、弁護士に相談をして、後遺障害慰謝料の方で金額の上乗せを交渉する方がベターです。
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交通事故による脊髄損傷で休業補償の請求では、入院期間や通院した日のほかに、医師が自宅療養の必要性を認めた場合には、通院をしなかった日に対しても休業補償を請求できる。
保険会社が事故による脊髄損傷と認めないケースには、事故が軽微であったり、症状の発症が遅いことがあげられる。保険会社に認めさせるには、弁護士に相談をした方が良い。
脊髄損傷の入院期間は、国が定めた規則により例外と認められない限り6カ月を超えると入院基本料の15%が自己負担になるため、ほとんどの人が6カ月以内に退院する。
交通事故で加害者側が自動車保険に加入していても、重度の脊髄損傷の場合は保険金額が足りないこともあるので、保険の内容を確認する必要がある。
脊髄損傷の治療で、保険を適用して再生医療を受ける場合には、期限や条件があるため、治療を希望する場合には速やかに手続き等を進める必要がある。