脊髄損傷の保険適用外での治療は加害者に請求できる?
脊髄損傷は一度受傷してしまうと、治らないと現在は言われています。
現在の医療技術では、脊髄が断裂してしまうと治療する手立てがないため、脊髄損傷の治療は温存療法とリハビリが中心となったものです。
しかしながら、「鍼灸治療で脊髄損傷の症状が改善した」「○○温泉は怪我の治療の湯治に良いらしい」「××という栄養食品はいい」と聞くと藁をもすがる気持ちで試してみたくなるのが人情だと言えます。
ですが、そう言ったものは健康保険適用外のため、ほとんどが実費になります。
交通事故の治療費は加害者や加害者の保険会社から支払われるとはいえ、健康保険の適用範囲のみの治療費を支払うのがほとんどであるため、それから逸脱した治療に関しては支払われません。
脊髄損傷の改善に効果があったとしても、高額な実費がかかるとなると、治療を継続して続けられるか心配になると思います。
ここでは、加害者、主に加害者の保険会社が保険適用外の治療にかかった費用を治療費として支払うか否かの説明をしていきたいと思います。
ほとんどの場合が保険適用外
・鍼灸院・整体院
事前に「交通事故の治療なので健康保険の範囲内で」と申し伝えておけば、健康保険適用で出来る治療をされます。
しかし、事前に保険会社に鍼灸院や整体院の通院を申し出ておかないと、治療費の支払いで揉める可能性があるので、伝えてから通院を始めた方が良いでしょう。
また、鍼灸師・整体師の方から「保険適用外で効果的な治療があります」と言われた場合には、自費となりますので自己判断が必要となります。
・温泉治療
日本において湯治は民間療法としてはポピュラーですが、医師の診断で湯治を勧められることはまずありません。
医療施設付帯の湯治を目的とした温泉施設もありますが、ごくごく少数ですので自費と考えた方が良いでしょう。
・栄養食品・サプリメント
脊髄損傷において、栄養食品やサプリメントの有効性はかなり懐疑的です。
そもそも、有効性が認められる栄養素などがあるのでしたら、病院などの医療機関で処方されますので、市販の栄養食品やサプリメントを保険会社が認めることはまずありません。
・マッサージ椅子・あんま器
身体の痛痒の軽減のためのマッサージ椅子やあんま器の購入代金は、医師の指示によるものでないと認められません。
医師が脊髄損傷の治療のために、こういった医療器具を家庭用に購入することを勧める事はほとんどなく、逆に保険適用外の高額なマッサージ機器などを勧める鍼灸師や整体師には問題がある可能性があります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
脊髄損傷の入院期間は、国が定めた規則により例外と認められない限り6カ月を超えると入院基本料の15%が自己負担になるため、ほとんどの人が6カ月以内に退院する。
脳の底部から背骨へと延びている太さ約1cmの神経である脊髄を交通事故などの外部からの衝撃で傷付け、さまざまな病状を発症するのが脊髄損傷である。
交通事故で脊髄損傷となった患者が車いすを用いて室内移動をするのは困難であるケースがあるため、外出用とは別の移動手段を考慮する必要がある。
脊髄損傷の治療で、保険を適用して再生医療を受ける場合には、期限や条件があるため、治療を希望する場合には速やかに手続き等を進める必要がある。
交通事故の後日に脊髄損傷が判明しても、交通事故との因果関係の証明が難しいケースもあるため、弁護士に相談をした方が良い。