脊髄損傷が原因の自律神経の乱れによる後遺症について
脊髄損傷を負われた方の中には、「季節の変わり目などになると、体調が悪くなる。」と言われる方もいます。
脊髄損傷を負われていない方でも季節の変わり目に体調を崩される方は結構多く、日中と夜の寒暖差が大きかったり、天候が不順であったりすることが原因と言われています。
季節の変わり目で体調を崩される方の多くは、自律神経がうまく整わないことによるものです。
自律神経とは、周囲の温度や湿度を感じ取って、体温調整のために汗をかいたり、逆に汗腺を収縮させて汗をかかないようにしたり、体温をあげるのに脈拍をあげたり、リラックスさせるために脈拍を下げたりと、自分の身体の状態をコントロールするものです。
健康な方だと自律神経がうまく働いているため、スムーズに発汗したり発熱したりするのですが、更年期障害や老化、ストレス・病気による自律神経の障害などでうまく働かず、暑くないのに顔がほてってきたり、急に脈拍が上がって動悸を感じるというケースがあります。
脊髄損傷の場合には温度変化などに気を配る
脊髄損傷患者の場合、脊髄と言う神経の通り道に障害があるため、麻痺している部分の自律神経が働かないと言うケースがあります。
真夏なのに麻痺をしている部分は全く汗をかかなかったり、真冬なのに寒さを感じなかったりと言ったケースがあります。
完全脊髄損傷患者の場合、医師から「自律神経が働かないので、室温管理などは注意してください。」といった忠告があるので注意をはらわれる方がほとんどです。
しかし、不完全脊髄損傷患者の場合は、「足にしびれが少しあるが動かすことができるので、さほど深刻ではない。」と楽観視していたら、交通事故から初めての冬を迎えて「足が氷のように冷たくて、全然血液が流れていないような感じだ。足は痛いし動かないし、夏とは全然違う。」といったことがあります。
自律神経による血行不良の場合、発汗や発熱を命令している神経の異常で血管や臓器に問題がありませんので、検査をしても「異常なし」ということがほとんどです。
そのため、『交通事故から半年ほどで示談を終了させてしまったが、その後の冬に重度の後遺症が出てきてしまった。でも、後遺障害認定も受けて、示談交渉も済んでしまったので、再度交渉することができない。』ということもあります。
示談交渉を終えてから、追加で後遺症の認定を受けることは非常に困難であるため、脊髄損傷で示談される場合には注意が必要です。
特に交通事故以前から、更年期障害や自律神経の異常で体温調整がうまくいかない方は、交通事故後にさらに重症化するということもありますので、急いで示談しないということも考える必要があります。
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脊髄損傷の入院期間は、国が定めた規則により例外と認められない限り6カ月を超えると入院基本料の15%が自己負担になるため、ほとんどの人が6カ月以内に退院する。
脊髄損傷の症状は、交通事故発生からしばらくして現れることもあります。事故現場で自覚症状がなくても、警察を呼んで交通事故の報告をしましょう。
脊髄損傷による介護費用の請求は、脊髄損傷の重篤度により認められるときもあれば、認められないケースもあるため、事前に弁護士に相談して確認をした方が良い。
脊髄損傷患者の多くは足に障害が出るため、歩行や移動に関して問題を抱えることになる。将来的な歩行・移動補助道具の購入費用も交通事故の相手方に請求できる。
脊髄損傷と一口にいっても、必ず上位の後遺障害等級に当てはまるとは限らない。当該症状に応じ、認定される等級は異なり、等級が高いほど慰謝料の額にも関わる。