脊髄損傷による後遺症で使用する用品代金は請求できる?
交通事故に遭い脊髄損傷となり後遺症が残った際に、障害を軽減したり、体の動きをサポートするための介護用品や便利グッズを購入することがあります。
ぱっと思いつくのが、杖や車いすといった歩行補助道具だと思いますが、その他にもかなりの種類があります。
重度の脊髄損傷で寝たきりに近い状態で自宅介護をするのならば、介護用のベッドが必要ですし、入浴をサポートする器具も必要になってきます。
ベッドと車いすの移動が介護人の力では困難な場合、移動用のリフトもあります。
手が動かず発語が不自由なため意思疎通が難しい場合には、視線で文字を読み取る透明文字盤や、ハイテクなところではセンサーが脊髄損傷患者の視線と瞬きを読み取って文字入力ができるパソコンなどがあります。
腕にまひがある場合には、衣服の着脱が難しくなるため、靴下をはくための用具や上着が羽織りやすくなる用具があります。
また、腕が上げづらくなるため長い柄がついた髪用ブラシや、カーブが付いた独特の形をした洗体用のブラシなどもあります。
車いすの用品でも車いす専用のシートカバーや車いすから立ち上がる際の補助用具などかなりの種類があります。
こういった用品の購入費用は加害者側へ請求することが可能です。
必要と認められれば相手に請求できる
これらの多くは介護用品や医療機器として認められているものです。
これらの物に共通しているのが、裁判でその必要性を争われた際に裁判所で認められた用具なのです。
「ブラシなどは便利グッズに近いし、そんなものまでは認められないのでは?」と思われるかもしれませんが、脊髄損傷患者が一人暮らしならば自分で身の回りのことをしなければいけませんし、家族と同居していたとしても介護をしてくれる人がいつもいるとは限りません。
つまり、脊髄損傷の後遺症により将来的に必要になる用具は、示談において請求できる対象になりうるのです。
もちろん、明らかに高級すぎるものや不要なものに関しては、裁判所も否定してくるので、確実に用品代金を請求するためには内容を精査する必要があります。
しかし、加害者側の保険会社がこれらを提示した際に、素直に承諾することはほぼありえません。
「将来的介護費用の中に含まれています。」、「普通の日用品で代用可能なはずです。」と反論してきます。
将来的介護費用は職業介護人を雇う、もしくは家族が介護したことによる介護費用ですので、いわば人件費がほとんどで、用品費までは含まれていないことが多いので、要注意です。
また、用品は消耗品であるため、買い替えるか買い続けなければいけません。
例えば車いすの耐久年数は6年ですので、脊髄損傷患者の余命が30年ならば5台分の車いすの代金を請求できます。
用品費に関しては品目が多く細かい上に、先ほどの様に耐久年数なども関係してきますので、弁護士に相談をして算出してもらう方が良いでしょう。
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慰謝料とは、文字通り「慰(なぐさ)め、謝(あやま)るため」に支払うお金で、脊髄損傷の痛みや以前の日常生活を送れなくなった事へのお詫びの気持ちを表す金銭である。
脊髄損傷による損害賠償の内訳は、大きく分けて積極的損害と消極的損害の2種類があり、もともとの損害に対する補償の性質が異なる。
自賠責保険の運用変更で、以前から脊髄損傷でまひがあっても、交通事故で新たにしびれが生じた場合には、弁護士に示談交渉を依頼すれば新たなしびれに対する分の請求をすることができる。
脊髄損傷は損傷の程度により、足先の痺れや、下半身麻痺であったりと症状にばらつきがある。交通事故による怪我が原因で生活が困難になった場合、リフォーム費用を加害者側に請求できる可能性がある。
交通事故で脊髄損傷となり後遺症を負っても給料の減額等がない場合、逸失利益が認められないケースもあるため、弁護士に相談をして逸失利益の計算をしてもらうとよい。