脊髄損傷となった場合、生命保険からも保険金が?
交通事故で脊髄損傷での「保険」というと、自賠責保険などの自動車保険の事を真っ先に思い浮かべると思います。
しかし、交通事故による脊髄損傷を補償してくれるのは、自動車保険だけとは限りません。
生命保険や傷害保険などでも、交通事故による脊髄損傷の補償があるものがあります。
一番身近なものでは、入院保障があります。
ほとんどの生命保険に付帯している入院保障ですが、交通事故による入院の場合は病気による入院よりも日額を増額していることがあります。
また通院保障も、入院した後の通院と言う条件であることが多いですが、中には交通事故の場合は入院がなくても通院補償の対象となるものもあり、また入院保障と同じく交通事故の場合は増額されるものもあります。
高度障害保険金が受け取れることも
首から下の完全麻痺などの重篤な脊髄損傷であると、高度障害保険金が支払われることがあります。
高度障害保険金は聞きなれない言葉かもしれませんが、生命保険の死亡保険金と同額であることが多く、生命保険のパンフレットなどでも「死亡もしくは高度障害の場合5000万円」と記載されていることが多いです。
高度障害保険金が受け取れる要件を簡潔に説明すると、「両目が見えなくなった」「両腕が全く動かなくなった」「両足が全く動かなくなった」「神経や内臓などにダメージがあり、常時介護が必要となった」などがあります。
そのため胸椎より上部で脊髄損傷となった場合には下半身麻痺となる事が多く、高度障害保険金の支給要件を満たすことがあります。
しかし、保険会社が必ず高度障害保険金を支払うとは限りません。
脊髄損傷で国が認めている身体障害者3級に認定されていたとしても、保険会社は高度障害保険金の支払い対象と認めないことがあります。
なぜこのようなことが起こるかというと、保険会社が高度後遺障害と認める基準が保険会社によって異なるからです。
自賠責保険が高度障害と認めて後遺障害2級、国の身体障害の認定が3級であったとしても、保険会社の基準からすると高度障害ではなく、単なる障害として取り扱われるからです。
このような場合、傷害特約に加入していれば脊髄損傷の傷害の度合いにより決められた保険金が支払われることとなります。
傷害保険の場合は、「200万円・100万円・50万円」と障害の度合いによって金額が区分されているものと、「最高200万円で障害の割合により減額」となっているものがあります。
後者の場合は、支払われる保険金は200万~0円の間で、保険会社が決めることになります。
生命保険会社と保険金の支払いに関して交渉がうまくいかない場合には、弁護士に代わりに交渉してもらうのも良いです。
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脊髄損傷による損害賠償の内訳は、大きく分けて積極的損害と消極的損害の2種類があり、もともとの損害に対する補償の性質が異なる。
交通事故で加害者側が自動車保険に加入していても、重度の脊髄損傷の場合は保険金額が足りないこともあるので、保険の内容を確認する必要がある。
脊髄損傷の入院期間は、国が定めた規則により例外と認められない限り6カ月を超えると入院基本料の15%が自己負担になるため、ほとんどの人が6カ月以内に退院する。
交通事故による脊髄損傷で休業補償の請求では、入院期間や通院した日のほかに、医師が自宅療養の必要性を認めた場合には、通院をしなかった日に対しても休業補償を請求できる。
交通事故で脊髄損傷となり後遺症を負っても給料の減額等がない場合、逸失利益が認められないケースもあるため、弁護士に相談をして逸失利益の計算をしてもらうとよい。