脊髄損傷患者のマンション住まいで起こる問題点について
交通事故で脊髄損傷を負い後遺症がある場合、以前の自宅に戻る事に戸惑われる方もいます。
脊髄損傷で車いすの生活を余儀なくされた場合、『自宅の玄関は階段を登らないといけない』『廊下が狭くて車いすが通れないので、改築が必要。』などの問題が発生するからです。
持ち家の一軒家ならば改装して対応するという方法もありますが、賃貸であったり、持ち家であってもマンションである場合、改装が出来ない、もしくは改装では車いすの生活に適した環境に出来ないといったことがあります。
マンションと言えば、特殊な構造を除いて1階の平屋と同じ作りなので、階段もなく移動がしやすいと思われがちですが、そうではありません。
そもそも、玄関自体にスロープがなく階段のみといったマンションもあり、マンションの出入り自体が困難というケースがあります。
特に30年以上前の公団では、2部屋ずつに1つの階段がある5階建てのマンションもあり、1階であっても階段を登らなければいけないため、車いすの脊髄損傷患者が生活するには困難と言えます。
所有マンションであっても改装できないことも
マンションの出入り自体に問題がなくても、所有の部屋の改装が出来ないケースもあります。
マンションの構造でラーメン構造と言われるものならば、部屋の壁をすべて取り払っても構造上問題がないのですが、壁式構造では部屋の中の壁も建物を支えていて、取り払うとマンション全体の強度が足りなくなるため、改装内容が制限されます。
また、『お風呂を大きくしたい』『トイレを寝室の近くに移動したい』と思った場合でも、マンションだと水回りを初めの設計の場所以外にするのには、配管工事や防水工事を行わなければいけないため、改装費が高価になったり、思った場所に設置が不可という事もあります。
交通事故の加害者と、改装について対立しやすいのが、費用と設備の重要性です。
脊髄損傷患者からすれば、「以前の生活の水準を保とうとすれば、このくらいの設備が必要で、改装費用にはこれだけかかる。」との要望を伝えても、加害者や加害者側の保険会社からは、「高すぎる。一般の生活水準から考えれば、提示されている改装内容は過剰なので、だせる費用はこのくらいです。」と主張してきます。
また、マンションの場合は築年数が古くなり、マンション全体の改修や建て替えが必要となった場合、マンション所有者の3分の2の同意が必要になるうえ、費用も多額にかかってくるため、改築しても住み続けるにはどうかという問題も浮上してきます。
交通事故の示談で、自宅マンションの改装や引っ越しを含めて検討する際には、交通事故に精通した弁護士にアドバイスをもらう方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で脊髄損傷となった患者が車いすを用いて室内移動をするのは困難であるケースがあるため、外出用とは別の移動手段を考慮する必要がある。
交通事故で脊髄損傷を負い、被害者が介護の必要な状態に陥った場合、将来的な介護費用を請求すれば認められる可能性がある。正当な理由を主張するためにも、弁護士に相談してみるとより安心できる。
医師が脊髄損傷患者の介護が必要と判断した場合、例え身内が介護をしたとしても、介護費用を請求できる。仮に職業介護人を雇った場合も、負担した費用の請求が認められる。
保険会社が事故による脊髄損傷と認めないケースには、事故が軽微であったり、症状の発症が遅いことがあげられる。保険会社に認めさせるには、弁護士に相談をした方が良い。
脊髄損傷となって自宅介護する場合、職業介護人の費用を保険会社に請求することができるが、容体などによっては介護人の費用が認められないこともある。