脊髄損傷で適切な後遺障害認定の等級を認められるためには
交通事故で脊髄損傷を負った場合、症状の差はありますが後遺障害が出ます。
脊髄は一度傷ついてしまうと治癒が不可能と言われているため、脊髄損傷によって引き起こされた後遺障害は治る事がありません。
そのため、脊髄損傷の後遺障害がどの程度のものなのか正しく判断しないと、正しい示談が行われません。
交通事故の示談において、後遺障害認定により逸失利益や後遺障害慰謝料などが大きく変わってくるため、示談における重要な内容のひとつとなります。
そもそも後遺障害等級とは、『後遺症がどの程度であるか』ということを、損害保険料率算出機構・自賠責調査事務所が、1級から14級、もしくは後遺障害に当てはまらないと、『後遺障害等級』という形であらわしたものです。
脊髄損傷の後遺症は、全身まひで自発呼吸も困難な重篤な患者から、つま先にわずかなしびれを感じるといった軽度の後遺症の患者もいるため、『脊髄損傷の後遺症=7級』といった単純な判断はできません。
同じ脊髄損傷でも後遺障害等級が同じとは限らない
損害保険料率算出機構・自賠責調査事務所が、医師の後遺障害診断書及び書類を審査して等級を決めるのですが、ここで重要なのが『提出書類によって等級が決まる』という事です。
全く同じ個所に同程度の脊髄損傷を負って、同程度の後遺症が出ているにもかかわらず、提出書類の違いによりAさんは後遺障害等級が12級なのにBさんは7級という事があり得ます。
損害保険料率算出機構・自賠責調査事務所は書類しか見ませんので、Aさんの書類の内容が悪ければ12等級しか認められないという事は大いにあります。
後遺障害認定の結果に納得がいかず、不服申し立てをして再審査してもらうことも可能ですが、書類がそのままでは再審査しても無駄になるため、補足をどれだけできるかが鍵となってきます。
また、後遺障害認定は一か所の後遺障害だけでなく、『腰から下のまひと、左肩のしびれ』といった2か所以上の後遺障害がある場合には、高い方の後遺障害にあわせる『併合』があるのですが、併合することで等級が高くなることもあります。
例えば、足の後遺障害等級が7級・肩の後遺障害等級が12級ならば、後遺障害等級は7級になります。
しかし、足の障害が12級・腰の障害が12級なので、併合で12級に認定かと思われたものが、併合による加算で10級に認定という事もあるため、初めて後遺障害認定の申請をする方からすると、制度が複雑すぎると言えます。
後遺障害等級の申請をする際には、担当医にきちんと後遺症について記入してもらうだけでなく、弁護士に記入方法や記載漏れなどがないかアドバイスを仰ぐ方が良いでしょう。
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脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
交通事故が原因で脊髄損傷を負っても後遺障害等級が非該当になる場合もある。訴訟を起こさないためにも早い段階で交通事故の対応に優れている弁護士に相談すべきである。
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。
脊髄損傷の後遺障害等級認定が非該当になるケースには、客観性の無さや一貫性の無さなどの傾向が見られる。非該当の場合にもポイントをおさえた対応によって賠償金増額の可能性はある。
交通事故の規模が比較的軽微であっても脊髄損傷を受傷することがあるが、加害者側と後遺障害認定において揉めることがあるため、もめごとが起こった際はすぐに弁護士に相談した方が良い。