脊髄損傷で納得のいく後遺障害等級を認めてもらうには?
交通事故の被害に遭って救急搬送され、病院で脊髄損傷と診断されたら、加害者との話し合い、治療費の支払い、賠償金額の決め方など、いろいろな心配ごとが頭をよぎるでしょうが、まずは治療に専念しましょう。
しかし、入院してすぐやっておくと、後で後遺障害等級認定を申請する際に役に立つことがあります。
・受傷後、できるだけ早い段階で検査を受ける
急性期と呼ばれる、脊髄損傷になってから数週間以内に、精密検査を受けてください。
怪我をしてから日が経つにつれて、人間の体が持つ回復力によって受傷部位の状態が変化していきます。
どのような怪我をしたかという証拠を残し、後遺障害等級を申請するためには、急性期に検査を受けて画像等の記録を残すことが大事です。
・精度の高いMRI(磁気共鳴画像)検査を行う
MRIの機械は、以前と比べて比較にならないほど進歩を遂げており、精度の高い画像を撮影できるようになりました。
脊髄損傷のうち、強い衝撃を受けたことが原因で脊髄の中心部に循環障害が起きた結果、さまざまな症状が現れる「中心性脊髄損傷」は、骨折を伴わないので、脊髄損傷のなかでも診断がむずかしいとされています。
そのため、脊髄損傷を発症しているのに、むち打ち症と診断されてしまう可能性があります。
そのような誤診を避けるには、鮮明な画像を撮影できる精度の高いMRIによる検査を受けましょう。
正確で内容の充実した後遺障害診断書を作成してもらう
・専門医の診察を受ける
脊髄損傷の診断が、なぜ難易度が高いのかは前述の通りです。
正確な傷病名と治療方法を診断できる専門医を受診しましょう。
・できるだけ早く神経学的検査を受ける
神経学的検査とは、交通事故などの衝撃により神経根や脊髄がどの程度損傷したかを見極めるために行うテストで、病的反射テスト、徒手筋力検査、筋萎縮検査、知覚検査、手指巧緻運動検査などの種類があります。
脊髄損傷は、レントゲン検査やCT、MRIなどの画像に異常がなくても、手がしびれるなどの症状が出ることもあります。
脊髄損傷の発症を見逃さないためにも、神経学的検査を受けてください。
これらの検査は、画像やテスト結果が記録として残り、日付も明確で、後遺障害等級認定を申請する際の客観的な証拠となります。
後遺障害等級認定を申請するには、後遺障害診断書が必要です。
実際には症状があるのに診断書に書き落としがあれば、後遺障害認定の審議をする際は、その症状はないものとして扱われます。
担当医師と信頼関係を結んで、よく相談しながら怪我についてすべての症状を正確に記述してもらい、納得のいく後遺障害等級を認定してもらいましょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
脊髄損傷では症状固定までに時間がかかることも多いが、後遺障害等級認定の際には、症状固定から示談まで2年の猶予があるので、無理に急がなくても良い。
脊髄損傷の症状の中にはめまいなどもあり、更年期障害と誤診されることもあるので、交通事故後にめまいの症状が出た場合は精密検査をした方が良い。
脊髄損傷の中でも珍しい中心性脊髄損傷の場合は、下半身に麻痺症状が出ずに上半身にのみ麻痺症状が現れることがある。また発見しづらいため、原因不明、もしくは詐病と疑われるケースもある。
交通事故による脊髄損傷を立証するのは簡単ではない。症状の程度に沿った後遺障害等級が認定されるためには、弁護士に依頼しての対応が望ましい。