脊髄損傷と鍼灸などの東洋医学での治療法
脊髄損傷の治療には、西洋医学、形成外科の病院での治療が一般的です。
多くの病院はCTやレントゲンでの検査の後、鎮痛剤や湿布の投薬やリハビリテーション器機による脊椎の牽引やストレッチなどが行われます。
しかし、脊髄損傷患者の中には病院の治療では、しびれや痛みが取り除けないため、鍼灸治療や整体などのいわゆる東洋医学での治療を希望される方もいます。
西洋医学の基本は患部に対しての処方であるため、脊髄損傷であれば脊髄損傷を起こしている個所の炎症や痛痒を抑えるために、鎮痛剤や手術などの外科的な処置を行います。
ですが、東洋医学は痛みのある患部も重要ですが、それに関連する部位の治療もおこない、全体の症状を見ての治療がされます。
東洋医学では「経絡と経穴」「陰陽」などと言った独特の考え方があります。
経絡とは体中に張り巡らされた気の流れ道の事で、経穴とは経絡上にある気のポイントになります。
経穴は一般的には「ツボ」と呼ばれており、痛みなどがなる部分にあるツボを押すなどして、痛みを取り除くこともありますが、一見して関係のない場所のツボを刺激して症状を緩和することもあります。
良く知られている親指と人差し指の間の「合谷」と言われるツボは、肩こりに効くとされており、これも経絡と経穴の考えから来ています。
脊髄損傷における東洋医学の有効性
西洋医学的な治療では痛みやしびれがとれなかった脊髄損傷患者の中には、鍼灸治療を続けていくうちに症状がかなり軽減する方もいます。
脊髄損傷自体は現在の治療法では完治不可能な症状ですので、完全に歩けない状態の患者が健常者と変わらない歩行ができるレベルまでの改善は、西洋医学・東洋医学ともに非常に難しいです。
しかし、東洋医学の場合、先述しましたが「全体を見ての治療」をします。
仮に「足に激しい痛みとしびれがあり、歩くのが困難」という脊髄損傷の患者がいたとします。
その場合には、痛みのある患部に関連する経穴の鍼治療のほか、痛みのために姿勢が悪くなっているので体のゆがみの矯正、患部周辺の筋肉の委縮を和らげるためのマッサージなど、東洋医学独特の治療がされます。
一見すると利点が多そうな東洋医学ですが、欠点もいくつかあります。
患者によって治療効果に差があるだけでなく、施術する鍼灸治療師の技術によってもかなり左右されると言う点です。
また、交通事故では多くの損害保険会社が、整体や鍼灸治療に対する治療費を認めたがらないという点もあります。
国からの通達で「整体治療に関しては交通事故の治療を認めていないとの見解は出したことがない」とされているのですが、まだまだ周知されていないことが原因にあります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の脊髄損傷の治療で、保険適用外の治療費は加害者や加害者の保険会社が認めることはほとんどないため、事前に保険会社に確認をしてからの方が良い。
脊髄損傷の治療で、保険を適用して再生医療を受ける場合には、期限や条件があるため、治療を希望する場合には速やかに手続き等を進める必要がある。
脊髄損傷に限らず、後遺症の残る交通事故の怪我は、いつ症状固定をするかが非常に重要である。症状固定後は保険金が支払われ、治療費の補償が終了するため、時期を正しく見極めて対応するのが望ましい。
脊髄損傷となった患者の約半数は交通事故が原因だが、脊髄に血液を送る血管の血流が途絶えて脊髄に血液が流れなくなることが原因でも脊髄損傷は発症する。
脊髄損傷の入院期間は、国が定めた規則により例外と認められない限り6カ月を超えると入院基本料の15%が自己負担になるため、ほとんどの人が6カ月以内に退院する。