脊髄損傷での後遺障害等級が非該当に・・・傾向と対応は?
交通事故によって負傷したとき、後遺障害等級が認定されるかどうかによって、さらには等級の違いによって請求できる損害賠償金額が大きく違ってきます。
脊髄損傷のなかでも特に不完全型の場合に、自覚症状があるものの後遺障害等級が非該当となってしまうケースが見られます。
非該当となったケースを見てみると、
・診断書の部位ごとの症状に整合性がない
・診断の根拠が自覚症状に偏り過ぎ
・自覚症状の訴えに一貫性が見られない
・画像診断に異常所見や器質的変化が認められない
・傷病名と検査所見に矛盾がある
・神経学的な診断がない
といった傾向が見られます。
脊髄損傷では明らかな画像所見が得られないこともあり、そのような場合に後遺障害等級の認定を受けるには、「症状の一貫性」「診断書の整合性」「客観的な検査結果」が必要とされることが分かります。
どれだけ困っているかといった心情の訴えは客観性の無さを強調してしまい、後遺障害等級の認定には逆効果です。
しかし、医師に「交通事故による脊髄損傷の後遺障害等級申請のための診断書をお願いします」と依頼すれば、どの医師でもこれらのポイントに注意してベストな診断書を作成してくれるわけではありません。
医師はあくまで様々な疾病の治療を学んできたのであって、交通事故対応を学んできたわけではないのです。
まずは高精度の画像診断を受けられ、後遺障害等級の認定に詳しい医師にかかること、もしくはそういった交渉ができることが大切です。
後遺障害等級が非該当でも十分な賠償を受けるには
脊髄損傷となったのに後遺障害等級が非該当となってしまったら、もう諦めるしかないというわけではありません。
認定結果に対する異議申立てで再認定を目指したり、共済紛争処理機構への処理申請をして争うことが可能です。
とはいえ結果を変えるには、非該当になった原因を探り、その原因をカバーできるような新たな資料が必要となります。
より高精度のMRI診断を受ける、神経学的検査を受ける、整合性のある自覚症状を漏らさず記入した診断書を改めて作成してもらうなどの方法があります。
脊髄損傷の後遺障害等級が非該当のまま訴訟になり、生活や仕事に支障が出ている場合には、後遺症により発生している損害を認めてもらう必要があります。
交通事故前にはなかった症状が交通事故後に発生したこと、交通事故以外に症状の原因が見当たらないこと、治療経過と症状に関係性が認められることを示し、交通事故と症状の因果関係を客観的に示すことで、労働能力の喪失が認定され、後遺障害等級が認定されたケースにより近い損害賠償金額を受け取ることができる可能性があります。
訴訟はできるだけ避けるためにも、適正な後遺障害等級が認定され、十分な補償を受けられるように、早い段階で交通事故の対応に詳しい弁護士に相談をしておくことがすすめられます。
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交通事故が原因で脊髄損傷を負っても後遺障害等級が非該当になる場合もある。訴訟を起こさないためにも早い段階で交通事故の対応に優れている弁護士に相談すべきである。
脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
脊髄損傷では症状固定までに時間がかかることも多いが、後遺障害等級認定の際には、症状固定から示談まで2年の猶予があるので、無理に急がなくても良い。
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。
交通事故による脊髄損傷においての後遺障害等級の異議申し立ては簡単ではない。原因を追究して正しく分析するためには弁護士に依頼するのが望ましい。