脊髄損傷の診断で有効な神経学的検査、電気生理学的検査とは
脊髄損傷を負い、後遺障害等級認定を受けるときに重要な役割を果たすのが、MRIなどの画像診断資料です。
骨傷性の脊髄損傷であれば比較的認識しやすいため、画像でしっかり診断できることが多いですが、中心性脊髄損傷の場合には撮影がなされずに見逃されてしまい、単なるむち打ちと診断されることがあります。
脊髄は円柱状なので、画像の角度や方法を変えることで画像所見が得られることがありますし、通常のMRIでの0.5テスラでは画像に写らない損傷箇所が、3テスラなら写るというケースもあるのです。
交通事故からかなりの期間が経過した後に検査を受け、撮影した画像では、交通事故との因果関係が問われてしまいます。
交通事故後早めの段階で検査を受け、精度の高いMRI画像を撮影、診断してもらうことが大切です。
交通事故からしばらくして体に強い痺れを感じる時、細かい作業がしづらいと感じたときにも、できるだけ早く画像診断を受けるようにしましょう。
画像診断をサポートするその他の検査
脊髄損傷があるかどうかは、画像での診断のほかにも神経学的検査や電気生理学的検査によっても診断が可能です。
神経学的検査にはいくつかあり、そのひとつの反射テストでは、膝をゴムハンマーで叩くなど各神経部分を打って反射を確認します。
脊髄に異常があれば反射が過剰に強くなる「病的反射」が現れます。
患者の意思に左右されにくい検査であるため、後遺障害等級認定の際に重視されており、脊髄損傷の立証に有効です。
加えて、徒手への抵抗から筋力を判定する徒手筋力テスト、手足の筋肉の周囲径を測定し筋委縮を判定する筋委縮検査のほか、知覚検査、手指巧緻運動検査などが、神経学的検査に当たります。
電気生理学的検査では、脳・脊髄誘発電位、筋電図検査などにより、神経を刺激して脊髄の損傷箇所や程度を探ります。
画像診断では損傷が見つけられなくても、疑わしい症状があり神経学的検査や電気生理学的検査で陽性反応がみられる場合には、脊髄損傷により詳しい専門医の診断を受けるようにしましょう。
しびれなどがあったとしても、後遺障害診断書に記載がなければ、後遺障害等級認定では一切考慮されることがありません。
また、単純に「脊髄損傷」とだけ記載されていても、脊髄損傷の立証ができていなければ後遺障害等級認定を受けることはできません。
適切な後遺障害等級認定のためには、画像の異常所見や検査結果を、医師の手で正確に、具体的に記載してもらう必要があります。
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脊髄損傷でセカンドオピニオンを受ける大きなメリットは、精度の高い診断を受けられる点である。
脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
脊髄損傷が疑われる場合、交通事故後すぐに精度の高いMRIを受けて、正確な画像診断をしてもらうべきである。きちんと損害賠償を受けるためにも重要なため、撮影適合者かどうか、撮影環境などにも注意する。
脊髄損傷の中でも珍しい中心性脊髄損傷の場合は、下半身に麻痺症状が出ずに上半身にのみ麻痺症状が現れることがある。また発見しづらいため、原因不明、もしくは詐病と疑われるケースもある。
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。