脊髄損傷となりMRIを受ける場合の注意点について
脊髄損傷を客観的に示すのに最も有効なのは、MRI(磁気共鳴画像)です。
後遺障害等級認定の資料としても重視されます。
レントゲンやCTは骨を検査するものであるため、脊髄の異常は確認できません。
MRIであれば、脊髄の負傷により骨の内部に生じた出血や浮腫などを撮影することができます。
MRIにはいくつかの注意点があります。
精度の低いMRI画像の場合や、脊髄損傷に通じていない医師が診断する場合に、損傷部位を捉えることができず見逃される可能性があります。
しびれや痛みが単なるむち打ち症と診断されて、MRIそのものが行われないケースもあります。
手指の強い痺れにより、細かい作業がしにくい・できないといったときには、脊髄損傷に詳しい専門医を探し、最優先でMRI撮影をしてもらうよう注意します。
対策として、交通事故発生からできるだけ早い段階で、精度が高いMRI画像の撮影を受けるようにします。
交通事故からある程度の期間が過ぎてから撮影したMRI画像を提出しても、「交通事故から撮影までに別の怪我を負った可能性」を払拭できず、交通事故との因果関係が争われる原因となってしまうため注意が必要です。
いったんはむち打ち症と診断された方が、MRIによって脊髄損傷と判明したというケースもあります。
交通事故直後の病院でむち打ち症(頸椎捻挫)と診断されたものの、症状が悪化する一方で、そんななか保険会社から示談開始を迫られたために弁護士に相談され、弁護士のアドバイスにより別の病院でMRI撮影を行ったところ、軽度の脊髄損傷であることが判明しました。
これにより後遺障害等級の認定が受けられ、十分な賠償金を受け取ることができたというケースです。
むち打ち症と脊髄損傷とでは賠償金が全く違ってきます。
将来のためにも、納得できる診断を受けて示談に臨むことが大切です。
MRIの検査が受けられない場合には
MRIは、CTのように放射線被ばくの心配がなく安心ですが注意点として、ペースメーカーを使用する方は受けられない場合があります。
撮影には30分~1時間ほどかかり、その間狭くて騒がしい空間で過ごすことになります。
MRI以外の脊髄損傷の診断法として、神経学的検査があります。
反射テストでは、異常がある神経を打突すると強い反射や病的な反射が現れます。
患者の意思に左右されにくく、後遺障害等級認定でも重視される項目です。
運動機能の低下や神経麻痺を調べるための徒手筋力テストや筋委縮テスト、知覚検査や手指巧緻運動検査なども有効です。
MRIを受けるかどうか迷う場合にこれらの神経学的検査を行い、異常の有無を確認しておくのも良いでしょう。
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脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
脊髄損傷の診断ではMRI等の画像が重視される。発見が難しい場合もあるため、早期に専門医を受診する事が大切である。神経学的検査や電気生理学的検査でのサポートも可能なため、検査を行うと良い。
交通事故が原因で脊髄損傷となったのに、加害者側からむち打ちなのではと言われたら、診断書や検査資料で脊髄損傷を立証して正当な賠償金を請求するべきである。
脊髄損傷になったら、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして後遺障害診断書に添付する証拠を集め、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうのが望ましい。
脊髄は老化による変形や損傷があり、交通事故後に脊髄損傷が見られても、交通事故に起因するものと認められず、診断が下りない事がある。そのような場合には交通事故に精通した弁護士に相談した方が良い。