そのめまい、交通事故による脊髄損傷が原因かも?
脊髄損傷というと、「足が動かなくなる」「首から下が麻痺する」といった重篤な症状を思い浮かべることが多いですが、脊髄損傷をした個所によっては軽微な症状であったり、不完全脊髄損傷のなかには、ほとんど症状が出ないものもあります。
そのため、交通事故直後に医師の診断で「受傷なし」や「軽いむち打ち」などの診断がでていたけれども、実際は不完全脊髄損傷を起こしており、後でそれが分かるという場合もあります。
例えば、「交通事故でむち打ちになって、3週間ほどで痛みはなくなったけれども、めまいがしたり、顔がのぼせたりする。でも、50歳だし更年期障害が来たのかな?」と見過ごされるケースもあります。
医師にしても、「むち打ちのほかにめまいの症状が出ているが、レントゲンに異常はないし、患者は50歳の女性だから更年期障害の症状かな」と、脊髄損傷にまで考えが及ばないことがあります。
そうなると、めまいやのぼせの症状の原因が、交通事故による脊髄損傷から切り離されてしまい、ずっと更年期障害や原因不明として診断されてしまうことになります。
交通事故後にでためまいには要注意
頸椎内の脊髄は神経の大動脈とも言え、交感神経が密集しています。
交感神経は体内のバランスをとる働きをしており、体温の調整やバランス感覚、神経の興奮や鎮静のON/OFFをしています。
交通事故で脊髄損傷となり交感神経が傷ついてしまうと、体温調整などが正しくできなくなり、のぼせやめまい・倦怠感など、更年期障害によく似た症状が現れます。
もともと、更年期障害はホルモンバランスの崩れによる交感神経の異常がありますので、30代~50代の男女で起きる可能性が大きいです。
そのため、この年代の人が交通事故後にめまいなどの症状を訴えても、「更年期障害からくるめまい」と看過されてしまいがちになってしまうのです。
一番良いのは、交通事故後にレントゲンやCTで脊髄損傷の箇所が発見されることですが、損傷個所が微小である場合には、発見しづらいというのも事実です。
もし、交通事故後に今までなかった、めまいやのぼせなどの症状が出た場合には、頸椎部分を重点とした精密検査をした方が良いかもしれません。
特に、めまいなどの症状が出ているにもかかわらず医師に告げず、数カ月通院をしてから医師に相談しても、医師からしても交通事故が原因なのかはっきりと断定することができませんし、保険会社は交通事故が原因であると認めることは少なくなります。
そのため、交通事故後に起きた体調変化は些細な事でも、医師には細かく伝えておき、カルテに記載してもらうことが重要になります。
交通事故から遅れて脊髄損傷がみつかった場合でも、「交通事故直後から、脊髄損傷が原因と思われる症状を訴えている」という証拠になりますので、積極的に伝える方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。
脊髄損傷でセカンドオピニオンを受ける大きなメリットは、精度の高い診断を受けられる点である。
脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
骨に損傷のない脊髄損傷『非骨傷性頚髄損傷』は、むち打ちと誤診されて発見が遅れることがあり、その場合示談交渉でもめることがあるので、先に弁護士に相談をする方が良い。
脊髄損傷の診断ではMRI等の画像が重視される。発見が難しい場合もあるため、早期に専門医を受診する事が大切である。神経学的検査や電気生理学的検査でのサポートも可能なため、検査を行うと良い。