混同されがちな脊髄損傷と脊椎損傷の違い
脊髄損傷と混同されがちな傷病に、脊椎損傷があります。
たった1文字の違いですが、医学的にみると大きな違いがあります。
脊椎は一般的には背骨と呼ばれるもので、首からおしりまでの一連の骨のことを言います。
一方脊髄は、脊椎の中を通る神経組織のことを指し、医学的には別物として扱われます。
つまり、脊椎損傷は背骨の骨折や骨の剥離、脊椎間の軟骨の変形や損傷などを差し、脊髄損傷は脊髄の一部もしくは完全な断裂がある状態を指します。
脊髄は再生不可能な器官であるため、一度切れてしまうと2度と引っ付くことがありません。
そのため、脊髄損傷の部位により障害の度合いは変わりますが、四肢の麻痺や排尿障害・呼吸困難など、様々な症状があります。
ですが、脊椎は基本的には骨なので、単純な骨折ならば自然治癒も可能なため、治療が不可能な症例は少ないと言えます。
脊椎損傷でも重症化することが
説明を聞かれると、脊椎損傷の方が脊髄損傷よりも軽傷なのではないかと感じるかもしれませんが、そうとも限りません。
脊髄損傷と聞くと、「首から下が麻痺をして全く動かず、呼吸すらも自分でままならない」と想像するかもしれませんが、軽微な脊髄損傷であれば排尿がしづらいと言った程度の場合もあります。
反対に脊椎損傷であっても、背骨の粉骨骨折であれ自然治癒により骨が元通りになる事はなく、再建手術が必要になったり、場合によっては背骨がないことにより寝たきりとなる可能性もあります。
また、脊椎損傷により脊椎間の軟骨の変形や欠損が起きた場合には、背中の痛みにより歩行が困難となったり、重傷な場合には立っているだけでなく、寝ていても痛みを感じることがあります。
ほかにも、背骨の骨折で中を通っている脊髄を圧迫することにより、脊髄損傷に似た症状を引き起こすことがあります。
また、脊椎の中に脊髄が通っている体の構造上から、脊髄損傷と脊椎損傷が同時に起こることがあります。
交通事故などで、「背骨が折れているようなので、しばらくは麻痺がありますが、骨折がなくなれば治ります」と医師が言っていたにもかかわらず、骨折がきれいに治っても麻痺が取れないため精密検査をした見たところ、骨折した脊椎内の脊髄が損傷していたと言う事もあります。
脊椎損傷と脊髄損傷のどちらにしても、交通事故で負いやすい傷病であるとともに、体の根幹となる部位の怪我なので、治療が困難であるケースもあるため、医師から詳しい説明を受けて、正しい治療法を受ける必要があります。
「脊髄損傷と脊椎損傷の相違点」に関してのみんなの質問
交通事故で脊椎を骨折した場合には、脊髄損傷となる可能性が高いのでしょうか?
脊椎は一般的に背骨のことを指し、脊髄はその中を通る神経の束になります。
例えば、ストローが脊椎、糸の束を脊髄と見立てて考えてみます。
ストローの中に糸の束が入っている状態で、ストローが折れたからといって直ちに中の糸が切れるということは少ないです。
つまり、脊椎が骨折しても、直ちに脊髄損傷となるとは限りません。
反対に、脊椎の骨折自体が軽微なものであっても、骨折した骨片が脊髄を損傷する可能性もあるため、脊椎の骨折だけで脊髄損傷の有無をはかることは難しいと言えます。
また、脊椎に骨折がなくても脊髄損傷となるケースも多数あるため、脊椎損傷と脊髄損傷は分けて考えた方が良いでしょう。
交通事故で脊椎が折れて、脊髄損傷を負いました。
脊椎は粉砕骨折であったため再建手術も検討されたのですが、年齢や体力面などから手術は断念されました。
そのため、脊髄損傷による下半身麻痺だけでなく、脊椎欠損による体幹の保持ができなくなりました。
このような場合は、脊髄損傷の他に脊椎の骨折に関しても、併せて保険会社に後遺症の認定を認めさせることができるのでしょうか?
交通事故で負った傷病であると認定されれば、脊髄損傷と併せて脊椎骨折による後遺障害の認定を受けることができます。
例外的に、交通事故で脊椎を骨折したが、医者の治療を受けなかったり、安静期間中にもかかわらず無理に動いて悪化させて、交通事故後に脊髄損傷となった場合には、脊椎損傷に関しては認定されても脊髄損傷に関しては認められないケースもあります。
医師から交通事故による脊椎の骨折との診断を受けているのですが、骨折した部分の痛み以外に、ひざから下にしびれのような違和感があります。
医師は、「MRIやCT画像で脊髄損傷や足の異常箇所は見つかっていないし、交通事故による一時的なショックが原因かも」と言っていますが、いつまでもしびれが続くため不安で仕方がありません。
本当に脊髄損傷の恐れはないのでしょうか?
脊髄損傷は部分的な小さな損傷であると、MRIやCTであっても見つからないこともあります。
特に脊椎骨折があると、医師の注意が脊椎骨折の方にだけ行き、脊髄損傷ではなく単なる一時的なしびれであると診断してしまうことがあります。
しかし、微小な脊髄損傷であれば発見が難しいということもあるため、脊髄損傷に詳しい医療機関でセカンドオピニオンを受けてみるという方法もあります。
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腰椎に脊椎損傷が起きると、足の麻痺や排尿障害などが起こりやすいが、不完全型の脊髄損傷で軽微な障害であると、脊髄損傷であることが見過ごされてしまう危険性がある。
脊髄損傷は、脊椎(背骨)の中にある神経の束である脊髄が完全断裂したり、部分断裂をした状態である。脊髄損傷は腰の軽い違和感から首の下が全く動かないなどの症状の重篤さがかなり違う。
胸椎の部分で脊髄損傷が起こると、肩から下の部分に筋肉や感覚器官の麻痺がおこるが、胸椎でも下の部分で脊髄損傷が起こると、腕や指などは自分で動かすことができる。
脊髄損傷を負ったからといって必ず後遺障害が出るとは限らない、しかし、不完全脊髄損傷の場合、後遺障害が出ても損傷個所がMRIなどで見つからないケースもあるので、専門病院で検査を受けるとよい。
尾骨の脊髄は他の脊髄よりも退化しており、尾髄の脊髄損傷より仙骨の脊髄損傷や尾骨の骨折による神経障害として取り扱われることが多い。