脊髄損傷とはどういう状態を指すのか?
脊髄損傷とは、交通事故や高所から落下するなどの外部からの強い衝撃や直接的な外傷により、脊髄が傷ついてしまった状態を言います。
良く混同されるのが「脊椎損傷」なのですが、脊椎は首から尾てい骨にかけての背骨を指すため、脊椎損傷は背骨の骨折やひびといった傷であることがあります。
一方脊髄は脊椎の中心を通っている神経の束で、この神経が完全に断裂してしまったり、部分断裂した状態を脊髄損傷と言うため、脊髄損傷と脊椎損傷が同時に起こる時もあれば、もう片方だけと言う事もあります。
脊髄は脊椎の中心を通る神経の大動脈ともいえるもので、脳から体の各器官への命令や各器官からの感覚や状態の脳への伝達は脊髄を通って行き来しています。
そのため、脊髄損傷をしてしまうとこの命令や伝達の通り道である神経が断裂したり切れかかった状態になったりするため、情報が行き来しなくなったり間違った情報を伝えたりするので、「足が思ったように動かせない。」「お湯が当たって暖かいはずなのに感じない。」「何もしていないのにピリピリとした痛みが走る。」と言った症状が出ます。
脊髄はほかの部位と違い中枢神経であるため、一度損傷してしまうと再生しないと言われています。
そのため、一度脊髄損傷で症状が出てしまうと、完治は難しいとされています。
現在の医学でも有効な治療方法は確立されておらず、治療方法はもっぱらリハビリを中心としたものになっています。
■脊髄損傷のレベルの違い
同じ脊髄損傷でも、「腰が少し重い」と言った軽い症状から、首から下が全く動かないと言った重篤な症状まで幅広い症状が見られます。
これらの差は脊髄の損傷度合よりも、脊髄損傷の部位によるものが大きく影響しています。
人の脊髄は上から頸椎(7)、胸椎(12)、腰椎(5)、仙椎(5)、尾椎(1)の30の部位からなっているのですが、脊髄損傷が起きた場合上に行くほど重篤な症状が出やすくなります。
イメージ的には脊髄が首から下の体を表しており、一番上で脊髄損傷が起きると首から下に全体に、真ん中くらいならば腰から下、下の方ならば足から下に麻痺や障害がでます。
交通事故などでは、関節的に弱い部分である首の頸椎や衝撃を受けやすい腰部分の腰椎の脊髄損傷が多く、また重傷な場合であることが多くみられます。
また、軽い追突の交通事故で外傷がなくても、むち打ちの症状が長引くのは、筋肉繊維の過剰な緊張や断裂だけでなく、脊髄が部分断裂している可能性があります。
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腰椎に脊椎損傷が起きると、足の麻痺や排尿障害などが起こりやすいが、不完全型の脊髄損傷で軽微な障害であると、脊髄損傷であることが見過ごされてしまう危険性がある。
脊髄損傷が原因で引き起こされる痛みの中には、脊髄損傷独特のものもあるので、医師に相談の上治療をした方がいい。
仙骨の脊髄損傷では、主に臀部から足裏、つま先にかけての麻痺が起こり、排尿障害なども起こることがある。
胸椎の部分で脊髄損傷が起こると、肩から下の部分に筋肉や感覚器官の麻痺がおこるが、胸椎でも下の部分で脊髄損傷が起こると、腕や指などは自分で動かすことができる。
不完全脊髄損傷の場合、足に麻痺が出ずに、腕や指に麻痺が出ることがある。その場合、麻痺の原因が脊髄損傷と気づかれず後遺障害認定がされないこともあるので、セカンドオピニオンを受け方が良い。