交通事故だけではない腰椎の脊髄損傷になる原因
腰椎は腰の部分の背骨のことを指し、5つの握りこぶし大の骨が連なっています。
腰椎は英語でlumbarと言うため、腰椎の脊髄損傷で損傷した個所を示すのに上からL1~L5と省略して呼ばれることがあります。
日常生活でも腰椎に関する悩みを抱えている人が多く、腰痛や椎間板ヘルニア、ぎっくり腰など、1度は腰に痛みを覚えたことがあると思います。
なぜこれほどまでに腰の問題を抱える人が多いのかと言うと、骨格に問題があるからです。
骨格の縦の構造を考えると、腰の部分だけが腰椎しかないことが分かります。
体重の半分以上が上半身が占めているため、単純に考えても60kgの体重の人でも、内臓や腹筋などの筋肉の補助があっても30kg近い荷重が腰椎に掛かることになります。
普通に立っているだけでもそれだけの負担がかかっている上に、運動などで衝撃を受けたり、重い荷物を持ったりすると、時として何百kgの負担がかかります。
「階段を上る」、「落ちたものを立ったままとる」と言う、日常の何気ない動作でも腰椎に負担がかかるため、交通事故などの急激な衝撃だけでなく、慢性的な疲労でも腰痛の原因となります。
腰髄損傷とは?
腰椎での脊髄損傷は、下半身の麻痺や排尿障害が起こります。
交通事故などにより強い衝撃を受けて完全断裂の腰髄損傷の場合は、車いすと紙おむつの使用が必要となる事があります。
しかし、L4やL5での脊椎損傷であると、主に膝から下の麻痺となるため、排尿障害が軽度であったり、排尿障害自体がないこともあったりします。
特に、不完全断裂型の脊髄損傷である場合には、「右足のひざ下だけに軽いしびれがある」「足の甲にピリピリした感じがあるが、歩行や排尿には支障がない」と言ったケースもあります。
そのため、交通事故の後遺症認定でも、脊髄損傷であるのか、麻痺が起こっている下肢部分の神経の異常なのか判断がつかないこともあります。
このような場合は、単純なレントゲンでは判明しづらいため、CTやMRIで脊髄の検査をして異常がないのを確認した後、足の神経の検査をした方が良いと言えます。
脊髄損傷の割合からすると腰椎部分の脊椎損傷は、頸椎部分の脊椎損傷に次いで多いことに加えて、単に加齢による腰痛や単なるぎっくり腰だと思い込み、脊髄損傷に気付かない潜在的な不完全型の腰椎の脊髄損傷患者もいるため、実質的な患者数は数倍となる可能性があります。
交通事故で腰に違和感がある場合には、念のために腰部分の脊髄損傷の検査をするべきだと言えます。
「腰椎の脊髄損傷を負った場合」に関してのみんなの質問
交通事故で、腰椎内の不完全脊髄損傷と骨盤の骨折を負いました。
現在、退院をして通院をしているのですが、交通事故の怪我の症状は骨折した部分が完全に治っていないため、軽い鈍痛がある程度です。
ですが、腰髄で脊髄損傷があるのはCT画像からも確かで、今後どのような後遺症が出てくるか不安です。
今後、何らかの後遺症が現れた場合、保険会社に認めさせることはできますか?
ひと口に脊髄損傷と言っても、受傷したレベルや受傷箇所により、症状は大きく変わってきます。
特に、不完全脊髄損傷では、損傷した個所が重要な神経が通っている所でない場合には、後遺症が軽微であるか、後遺症自体がないこともあり得ます。
また、脊髄損傷の特徴として、脊髄が損傷した時点で症状が発症するため、日数がかなり経過してから後遺障害の症状が現れることは少ないです。
そのため、今現在脊髄損傷の後遺障害の症状がない場合には、後に後遺障害に似た症状が出ても、交通事故が起因するとは認められづらいと言えます。
腰椎の脊髄損傷を交通事故で負ったのですが、出ている症状は膝から下の軽いしびれです。
歩行には支障がないのですが、しびれによる不快感が四六時中あります。
このような状態で後遺障害認定を受けることはできるのでしょうか?
脊髄損傷のなかでも腰椎の脊髄損傷は、首などの上部の脊髄損傷と比べて症状がきわめて軽微であることがあります。
そのため、保険会社もしびれ程度の自覚症状であれば後遺症と認めたがらない傾向があります。
しかし、後遺障害認定の基準では、12級の「局部に頑固な神経症状を残すものの、通常の労務はできる状態」に当たると思われます。
医師の所見や画像所見があるのでしたら、後遺障害認定が受けられる可能性はかなり高いと言えます。
半年前に交通事故に遭い、腰骨を骨折しました。
3カ月の入院後、通院を続けていますが、交通事故当初からある足のしびれが取れません。
医師にもそれを伝え、交通事故直後や入院中も何回かレントゲン写真を撮りましたが、「骨折以外に異常個所がない」と言われています。
私の考えでは、腰椎内で脊髄損傷があるのではないかと思っているのですが、医師にも見つけられない脊髄損傷というのはあるのでしょうか?
神経などの組織はレントゲンやCTなどのX線よりも、MRIの磁気の方がより鮮明にわかりやすいです。
しかし、CTやMRIの断面撮影であっても、撮影の間隔が1㎝ほどであることが多く、細かくても3㎜程度になります。
そのため、脊髄損傷部分が微小で、撮影した個所の間にあると、発見できないということもあります。
交通事故や脊髄損傷を専門とした医療機関では、脊髄損傷の発見率が上がるということもありますので、専門病院でセカンドオピニオンとして受診をした方が良いかもしれません。
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脊髄損傷は、脊椎(背骨)の中にある神経の束である脊髄が完全断裂したり、部分断裂をした状態である。脊髄損傷は腰の軽い違和感から首の下が全く動かないなどの症状の重篤さがかなり違う。
脊髄損傷では、それぞれの損傷箇所が支配する器官によって、起こる障害がわかれてくる。完全型・不完全型でも異なり、手足の麻痺や皮膚機能の喪失、排泄機能の喪失などと向き合うことになる。
仙骨の脊髄損傷では、主に臀部から足裏、つま先にかけての麻痺が起こり、排尿障害なども起こることがある。
混同されがちな脊髄損傷と脊椎損傷であるが、脊髄損傷は脊髄の一部もしくは完全な断裂の状態を差し、脊椎損傷は背骨の骨折や脊椎間の軟骨の損傷などを指すため、医学的にみると大きな違いがある。
胸椎の部分で脊髄損傷が起こると、肩から下の部分に筋肉や感覚器官の麻痺がおこるが、胸椎でも下の部分で脊髄損傷が起こると、腕や指などは自分で動かすことができる。