尾椎の脊髄損傷とはどのような状態なのか?
尾椎は背中の中心の骨、背骨の一番下に位置する骨です。
尾椎は一般的には、「尾骨」「尾てい骨」と呼ばれていて、こちらの呼び方の方が聞き馴染みがある人の方が多いのではないでしょうか?
尾椎は形状的に仙骨の下にくっついているような形で、脊髄の面からするとほかの部位の脊髄よりも退化しており、脊髄損傷が起こった場合でも仙骨の骨髄に含められることもあります。
腰かけた際に座面に直接当たる骨であるため、痩せ型の人であると尾てい骨に不快感をおぼえることもあります。
またしりもちをついた際に、地面に直接ぶつかり痛みを覚えるだけでなく、時として骨折してしまうことがあります。
交通事故での尾椎の骨折のほとんどが、バイク事故で転倒したり、歩行時に自動車にひかれたことが原因で、自動車の運転手や同乗者が骨折することは稀です。
尾椎が骨折した際の治療法は、保存療法、いわゆる自然治癒を待つため、湿布や痛み止めの軟膏・飲み薬などで対処されます。
尾椎の骨折が完治は2~3か月かかるとされており、その間座ると尾椎に荷重がかかるため座ることも上向きに寝る事もができないと言う方も多くいます。
尾髄の脊髄損傷
尾髄は頸髄や胸髄・腰髄などと比べて退化しているため、「尾髄の脊髄損傷」という概念はなく、尾椎が骨折したことによるしびれや痛みなどは、「尾てい骨の骨折による神経障害」として扱われることがほとんどです。
日常的な尾骨の痛みでよく見られるのが、「坐骨神経痛」です。
坐骨神経痛は主に骨盤内の三叉神経が妊娠による子宮のふくらみや内臓の腫瘍などにより圧迫されることにより、発症します。
交通事故で尾椎が骨折し、2・3か月後に骨折が治ったにもかかわらず、痛みが何か月、時として1年以上続くことがあります。
「交通事故で骨折した尾椎の神経がおかしくなっているのではないか?」と思い、レントゲンやCTによる検査をしても異常が見つからないという場合は、尾椎が骨折した際にゆがんでくっついてしまったり、骨盤自体がゆがんでしまったことにより、三叉神経が圧迫されて坐骨神経痛となっていることもあります。
このような場合には、ストレッチや整体などで尾骨の位置を調整したり、骨盤のゆがみを治すことにより、坐骨神経痛の痛みを治すことができます。
交通事故の場合、整体院やマッサージ院を利用することをためらう患者もいますが、このような症状がある場合にはセカンドオピニオンもかねて、診察治療をしてもらうと良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。
脊髄損傷では麻痺がある部分に痛みやかゆみなどを感じる幻肢痛という症状が出ることが多くあるため、幻肢痛で日常生活に支障が出る場合にはその分を含めた損害賠償請求をした方が良い。
脊髄損傷でまれに上半身麻痺が起こることがある。珍しい症例のために脊髄損傷との因果関係に気付かない医師もおり、示談が不利になるケースもあるため、交通事故に詳しい弁護士に相談をするとよい。
脊髄損傷に限らず、後遺症の残る交通事故の怪我は、いつ症状固定をするかが非常に重要である。症状固定後は保険金が支払われ、治療費の補償が終了するため、時期を正しく見極めて対応するのが望ましい。
脊髄損傷では症状固定までに時間がかかることも多いが、後遺障害等級認定の際には、症状固定から示談まで2年の猶予があるので、無理に急がなくても良い。