加害者であっても自賠責保険に請求することはできますか?
【質問】
1カ月前に、歩行者との接触事故を起こしました。
任意の自動車保険に加入していなかったため、被害者の方とは直接やり取りをしていたのですが、治療のために必要なお金が手持ちにないと言われたので、先に10万円を支払いました。
10万円支払った際に、一応お金を渡したという証書を書いてもらい、最終的に示談をした際には示談書を書いてもらったほか、病院の領収書や会社を休んだ証明書と給料明細の写しをもらい、追加で15万円ほど支払いました。
交通事故の示談金で25万円は安いと思われるかもしれませんが、私にとっては大金で痛い出費となってしまいました。
最近になって友達に交通事故の事を話したのですが、「自賠責保険を使わなかったの?その交通事故の相手もお前じゃなくて、自賠責保険に請求すればよかったのに」と言われてしまいました。
いまさらですが、自賠責保険に加害者の私が支払った治療費などを請求できるのでしょうか?
もし、被害者の方からしか請求できないのであれば、すでに治療費を渡してしまっているため、どうすればよいのでしょうか?
【回答】
自賠責保険に対する請求は、被害者・加害者共に行うことが出来ます。
(ただし、1つの交通事故につき、加害者もしくは被害者のどちらか一方からしか請求できません。)
人身事故の被害者請求であれば、被害者が支払った治療費や会社を休んだことによる減給分、通院慰謝料などが、上限120万円まで支払われます。
反対に加害者が請求する際には、被害者に支払った治療費や会社を休んだことによる減給分、通院慰謝料などが、上限120万円まで支払われます。
つまり、被害者であっても加害者であっても、同金額の保険金が受け取れるという事になります。
ただし、単に自賠責保険に電話すれば保険金が支払われるような簡単なものではなく、交通事故証明や示談書など書類が数多く必要になります。
請求の流れとしては、自賠責保険の窓口となっている各自動車保険会社に連絡をして、保険金請求書類を提出し、保険会社が損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に書類を渡して調査を行います。
そして、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が保険会社に調査の報告をして、保険会社が請求人に保険料を支払う流れになります。
そのため、調査の結果次第では、請求した金額よりも少ない場合や、全く支払われない場合もあるため注意が必要です。
書類の書き方や必要書類が分からない場合には、保険会社の窓口で質問するか、もしくは書類に不備があったり不明な場合には損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所より、病院や当事者である被害者、もしくは加害者に連絡があるため、その時に聞いてみても良いかもしれません。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の場合、過失割合に沿ってお互いがお互いの損害賠償をしなければいけないため、過失割合が小さくても負担が大きい時がある。
交通事故で加害者から見舞金を受け取る場合には、メリット、デメリットを考慮し、損害賠償金に含めるかどうかをハッキリさせたうえで受け取るようにすべきである。
交通事故の示談内容に納得できなければ、示談成立前に被害者請求をして、先に自賠責の保険金を受け取ることは可能である。その後、任意保険へ不足分を交渉すると良い。
同意書は交通事故加害者への求償を円滑にするためのもので、無くても傷病届を受理してもらい、健康保険での治療ができる。拒否された事情などを書面にしたり、直接説明してみると良い。
交通事故で入院した場合、医師から治療の必要性により指示があるなどでないと、個室利用料を加害者に対して請求することはできない。