交通事故の過失割合にそって支払う損害賠償金の計算方法は?
【質問】
自動車同士の交通事故を起こしました。
過失割合は3:7なのですが、治療費に自動車の修理など、たくさんの損害賠償項目があり、計算がどうなるのかよくわかりません。
私の方が過失は少ないので、相手からもらえるお金が多くなるという考え方でいいのでしょうか?
相手の方は自動車保険に加入しておらず、私の方は自動車保険に加入しているのですが、どの程度変わってくるのでしょうか?
【回答】
交通事故において過失割合は、示談時の損害賠償請求額に大きくかかわってくるため、重要な項目になります。
しかし、自分の方が過失割合が小さいからと言って、相手から支払われる損害賠償金が多くなるとは限りません。
時として、過失割合の小さい方が、過失割合の大きい方に支払わなければいけないことがあるため注意が必要です。
例えば交通事故を起こしたAとBがいます。
過失割合はA:Bで3:7
治療費や休業補償が、Aが100万円、Bが200万円
自動車の修理費などの物損が、Aが50万円、Bが30万円とします。
過失割合から考えると、
Aの治療費の内、Aの自己負担は30万円、Bは支払うのは70万円
Bの治療費の内、Aが支払うのは60万円、Bの自己負担は140万円になります。
Aの物損の内、Aの自己負担は15万円、Bは支払うのは35万円
Bの物損の内、Aが支払うのは9万円、Bの自己負担は21万円になります。
つまり、
AからBに支払われるのは、60万円+9万円=69万円
BからAに支払われるのは、70万円+35万円=105万円となります。
実際には105万円―69万円=36万円がBからAに支払う形がとられます。
最終的には、
Aが、100万円+50万―36万円=114万円
Bが、200万円+30万+36万円=266万円
が、交通事故により支払った金額となります。
こうしてみると、どちらも過失割合に関わらず、交通事故により大きな出費を強いられることが分かります。
しかし治療費など、人身事故の損害賠償については、自賠責保険で最高120万円まで支払われます。
自賠責保険では、過失割合が8割未満の場合は過失割合による減額がなく、Aは100万円、Bは120万円がお互いの自賠責保険より支払われるので、治療費だけで見るとAの負担は0円、Bの自己負担額は80万円で済むことになります。
また、任意の自動車保険に加入していた場合には、加入していた保険の種類に沿って交通事故の過失割合により減額された保険金が支払われるのですが、治療費などに関しては自賠責で賄いきれなかった分のみを支払います。
物損に関しては、Aが対物保険及び車両保険に加入していれば、Bへの物損の支払いは対物保険から、自己の車両の修理代は車両保険から出るため、Aの支出は実際にはないか少額で済むことになります。
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交通事故の加害者であっても、自賠責保険に対して保険金の請求ができるため、被害者に直接示談金を支払った場合には、加害者請求をすると良い。
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自動車に無償で同乗する好意同乗であっても、近年では好意同乗を理由に同乗者への減額はされない傾向が高い。
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