整備不良車で交通事故を起こした場合、罰則を科されますか?
【質問】
私は運送会社に勤めていて、社有車に乗って得意先に配達をする仕事をしています。
会社の経営者はケチな所があり、社有車のタイヤの溝がほとんどないにもかかわらず、「次の車検の時に変える」と一点張りで交換してくれません。
次の車検まで1年近くあるため、その間にスリップして交通事故でも起こしたらと思うと、毎日ひやひやしながら運転しています。
先日も雨の時にハンドルをとられてスリップしかけたため、もし交通事故になったら整備不良ということで、何らかの罰則を負うことになるのではないかと、心配になってきました。
もちろん、交通事故を起こしたら免許証の点数が加算されるなどの罰があることは分かっていますが、整備不良車ということで罰則が追加されるということはあるのでしょうか?
【回答】
整備不良は交通事故を起こす原因ともなるため、道路交通法で運転すること自体が違反になります。
そのため、タイヤに溝がない自動車を運転すること自体、警察の検問で止められたりした場合に整備不良で罰則を科されることになります。
また、整備不良車は車検を通過することはできず、どちらにしてもタイヤ交換をしなければいけないので、即刻タイヤ交換をして整備不良を直す方が良いです。
万が一、整備不良車で交通事故を起こした場合、運転手には先ほど述べた整備不良の違反が追加されます。
よく、「タイヤの空気が抜けていたことに気が付かなかった」「ランプが切れたことを知らなかった」と言い訳をする方がいますが、自動車を運転する前には自動車に不備がないか確認する義務がありますので、自動車搭乗前の確認義務違反ということになります。
では、整備不良車に対する会社の責任はと言うと、管理者として責任が問われます。
社有車ということで、会社内に整備士や社有車の管理者がいた場合には、それぞれ整備不良と管理不備ということで処罰の対象となります。
専門の役職がいない場合には、会社法人や会社の代表者が処罰対象となります。
つまり、交通事故が起きた際に、「社有車の管理はそれぞれの運転手に任せていた」というような経営者の言い訳は通用しないということになります。
質問者の方も従業員の立場であるので、上司の方には言いづらいかもしれませんが、交通事故の危険性とともに、検問などで整備不良を指摘された際は運転手のみならず、所有者である会社にも懲役や罰金刑が科されると説明して、即刻、整備不良の状態を改善してもらうようにしましょう。
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