人身事故の示談は警察に知らせず当事者間ですすめても良い?
【質問】
遅刻しかけていたため走って会社に行く途中、角から出てきた自動車とぶつかりました。
幸い自動車のスピードが出ておらず、私も軽い擦り傷と打ち身で済みました。
自動車の運転手は平身低頭で名刺を渡してくれたほか、警察を呼んで病院に行きましょうと言ってくれました。
しかし、私が会社に遅れるわけにはいかなかったのと、自分の不注意もあったので、警察も病院も断ってそのまま会社に出社しました。
打ち身の方は会社の昼休みに湿布を買ってきて貼って、擦り傷は大したことがなかったのでそのままでいました。
しかし、夜に自宅へ帰ったところ自動車の運転手から電話がかかってきて、怪我の程度などを聞いてきました。
自動車の方も目立った傷がなかったため、警察には連絡されなかったそうですが、気になって電話をして来たとのことでした。
運転手から治療費ということではないですが、見舞金として3万円を支払うので、それで交通事故の件は示談という形にしましょうと言われたのですが、応じていいものなのか悩んでいます。
交通事故的には人身事故に当たるのでしょうが、警察に知らせずに個人間で示談をしてしまってよいのでしょうか?
【回答】
交通事故の示談は民事になりますので、「民事不介入の原則」から、警察は示談に関しては関与しません。
ですので、個人間で示談が成立しようがしまいが、当事者同士の問題となるため、当事者同士が了承すれば示談は成立することになります。
しかし、交通事故自体に関しては警察への通報義務があるため、質問者・運転手双方に義務違反が生じることになります。
特に人身事故で運転手に過失がある場合には刑事罰や行政処分が課されるため、人身事故で通報しないというのは場合によっては重罰となることもあります。
とはいえ、今回のように自動車に損傷が見られず、怪我の程度も軽微な場合には、警察が交通事故の検分に来たとしても、人身事故にせず物損事故にするか警察の方から問うパターンだと思われます。
例え人身事故にしたとしても、怪我の程度から運転手の刑事処分・行政処分は不起訴となる可能性が非常に高いです。
ですが今回のケースは非常に幸運なケースで、後からむち打ち症状が出たり、骨にひびが入っていたことが分かったりするということもありますので、交通事故に遭ったらまずは警察への通報を一番にするようにしましょう。
そう言った意味では、運転手の方は交通事故当時は模範的な対応をとっていて、逆に質問者の方の対応がまずかったと言わざるをえず、後から警察署に行って「交通事故に遭った」と言っても、受け付けてくれない可能性もあります。
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金銭の授受がないからと交通事故の示談を放棄するよりも、金銭の授受は行わない旨の記載をした示談書を作成して示談をした方が、のちのち紛争が起きにくい。
簡単な示談で済むだろうと思っていると、後になって交通事故の相手が嘘をついてくることは珍しくない。交通事故直後に警察へ適切な届け出をし、後で困らないように証拠を残しておくことが大事。
軽微な交通事故で警察に届け出をせずにその場で示談してしまうと、届出義務違反となるだけでなく、自動車保険を使うことができなくなるリスクが生じる。
交通事故で被害者が立ち去る場合は、被害者がいたか不明であるため、物損事故で処理されるか、もしくは交通事故自体がなかったものとされることもある。
交通事故の通院には通常、公共交通機関を使った費用が支払われるが、歩行が困難などの状態であれば、タクシーの利用が認められることがある。