交通事故の被害者が自賠責保険の分だけ先に請求できる?
【質問】
4カ月前に、自動車対自動車の事故を起こしました。
交通事故を起こした当日に加入していた保険会社に連絡を入れたため、相手側の保険会社と、自分の保険会社を通じて交渉している状態です。
しかし、相手方が過失割合に納得せず、示談交渉が長引いています。
当初、保険会社から2:8の過失割合だと言ってきていたのですが、相手側が6:4だと言って譲らないそうです。
警察の調書や、保険会社が調べた交通事故の状況からも、相手側の過失が大きいことは明らかで、私としても当初の2:8の過失割合を譲るつもりはありません。
ですが、示談が長引いていることで金銭的に心もとなくなってきました。
そのことを知人に相談をしたところ、自賠責保険に先に請求する方法もあると教えてもらえました。
本当に、示談が済んでいなくても、自賠責保険に請求することはできるのでしょうか?
【回答】
任意の自動車保険に加入していると、被害者に支払われる保険金は保険会社がすべて払っているかのように思えますが、実は違います。
公道を走る自動車には、自賠責保険への強制加入が義務づけられています。
自賠責保険に加入していなければ車検に通らないのと、自賠責保険が切れていると道交法違反にもなるため、自賠責保険が切れている状態で公道を走行している自動車は極めて少ないです。
交通事故での保険金の支払いの仕組みは、まずは自賠責保険から支払われる保険金でまかない、自賠責保険を超える被害に関しては保険会社が支払うという形になります。
例えば、交通事故で怪我をして入院と通院の治療費が200万円かかったとします。
自賠責保険の怪我による補償は120万円までですので、超えた80万円は保険会社が負担します。
自賠責保険への請求は、保険会社が被害者に「代わりにします」と申し出て、保険会社が代わりにすることが多いです。
そのため、自賠責保険を保険会社が請求して、一旦保険会社が受け取り、保険会社が支払う分の保険金とまとめて払うという形が多く取られます。
しかし、この形だと示談が終わらない限り、保険会社から自賠責保険分も支払われないため、交通事故の被害者が先に自賠責保険に請求することができます。
これを、自賠責保険の被害者請求と言います。
被害者請求の利点は、加害者と示談が済んでいなくても請求できる点で、被害総額の本請求だけでなく、金額は下がりますが一部支給の仮渡金という制度で受け取ることも出来ます。
ただし、被害者請求の場合は、被害者自身が必要書類を揃えて申請をしなければいけないため、労力が必要になります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
個人で保険会社と交通事故の示談交渉をするのには限界があるため、示談交渉がうまくいかない場合には弁護士に任せた方がうまくいく。
交通事故における過失割合で加害者と揉めた場合、加害者の主張が不当であるケースでは、弁護士を介入させ、対処する方法がある。過失割合における口論を個人でまるく収めるのは、容易ではない。
1回目の交通事故の示談前に、2回目の交通事故で死亡してしまうと、請求できる保険金額が変わってくるため、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が良い。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
交通事故の示談後に後遺症が悪化しても基本的には補償してもらえないが、示談時には予想できなかったほどの著しい悪化の場合は、示談を無効とする判例もある。