昔の交通事故で負った怪我が、別の交通事故で悪化したら?
【質問】
2年前に追突事故に遭い、その交通事故ではむち打ちと腰椎の骨折を負いました。
その交通事故の怪我は3カ月ほどで治り、交通事故から5カ月くらいの時に示談が済みました。
その後は、雨の日などに多少首や腰に違和感が出ることがありましたが、特に大きな痛みがあることもなく生活をしていました。
しかし、2カ月前にまたしても自動車で追突事故に遭いました。
しかも、前回とほぼ同じ個所を骨折し、むち打ちになったのですが、前回より悪化しており、腰・首ともに激しい痛みがあります。
今回の加害者の保険会社も、前回の交通事故の保険会社と同じであったため、保険の担当者から「今回の事故での怪我の症状が重いのは、前回の事故による怪我が原因で悪化しているのでは?」と言われました。
そのため、保険金の支払いを渋るような発言が多く、保険金が全額支払われないのではないかと心配しています。
【回答】
先に結論を言いますと、今回のケースでは前回の交通事故に関係なく保険金が受け取れると言えます。
交通事故以前に障害があり、交通事故により悪化した場合には以前からの障害の分を差し引いて保険金が計算されるのが普通です。
具体的な例ですと、以前の交通事故で後遺障害14級に認定されていて、新たな交通事故で10級の認定を受けた場合には、自賠責基準の後遺障害慰謝料は14級が32万円、10級で187万円になりますので、2回目の交通事故で受け取れるのは187万-32万=155万円になります。
しかしこれは、後遺障害として以前に認定されていたり、長期間の治療履歴がある場合に限りますので、腕を骨折した2年後にまた腕を骨折したからと言って、そのせいで悪化しているというのは、強引な論法になります。
今回のケースでは、以前の交通事故では後遺障害認定がされておらず、完治で示談されていたとしたら、保険会社の主張は矛盾していることになります。
前回の事故での怪我が完治していたのであれば、怪我の現状は今回の交通事故だけが原因となります。
反対に前回の事故で後遺障害が残っている状態ならば、完治という形でした前回の示談がおかしいということになります。
もし、保険会社が前回の事故を理由に保険金の支払いを渋るようであれば、上記の矛盾から保険会社に対抗してみてもよいと思われます。
それでも、保険会社が同じ主張を繰り返すようでしたら、交通事故に詳しい弁護士に依頼して、示談交渉を任せた方が良いかもしれません。
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交通事故の交渉で、「示談」「調停」「裁判」の違いは、示談は当事者同士の話し合い、調停は話し合いの場に裁判所の調停委員が立ち会う、裁判は文字通り裁判で内容を決めることを言う。
1回目の交通事故の示談前に、2回目の交通事故で死亡してしまうと、請求できる保険金額が変わってくるため、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が良い。
交通事故の被害者は、自賠責保険に直接請求することができる。このことを、自賠責保険の被害者請求と言う。
損害賠償金に関してはもともと非課税との考え方であるため、交通事故の逸失利益の計算には、 税金が引かれる前の額面の収入が用いられる。
自賠責保険の手続きを保険会社に任せてしまうと、保険金が低くなる可能性が高いので、出来る限り自分で請求をした方が良い。