交通事故で下半身麻痺に。自宅のリフォーム代は請求できる?
【質問】
3カ月前に交通事故に遭い、脊髄損傷により下半身麻痺となりました。
麻痺の具合が強く、現在も病院に入院してリハビリを受けていますが、一生車いすが必要と医者からは言われています。
3カ月後の退院の時には自宅に帰りたいと考えているのですが、自宅は車いすで生活するには向いておらず、リフォームする必要があります。
リフォーム箇所は玄関やトイレ・お風呂・キッチンなど水回りを中心に多くあるため、高額になると予想されます。
そのため、リフォーム費用を加害者側の保険会社に請求をしたいと思います。
交通事故の後遺症を理由とした、自宅のリフォーム代の請求をすることはできるのでしょうか?
【回答】
交通事故の後遺症により、以前から住んでいた自宅では生活がしづらい・生活が出来ないと言ったことがあります。
裁判所の判例では、生活する上で必要なリフォームに関して、加害者に支払い命令をすることがほとんどです。
そのため、自宅をリフォームすることに関しては認められると思われます。
しかし、リフォームの内容に関しては青天井に金額を認めるものではなく、必要なものに限って認められることになります。
例えば、トイレを車椅子が入れる大きさに増築して、ウォシュレットの洋式トイレを設置するというのは認められますが、さらに大理石張りにするというのは必然性が認められないため、リフォーム代が支払われません。
そこで、「いろいろと機能が付いたお風呂やキッチンにしておけば便利だし、交通事故の保険会社がリフォーム代を支払うんだから高くてもいいし」と高額なリフォームをしたにもかかわらず、全額が認められずに差額を負担と言うことも起こりえます。
一番良いのは、自宅介護に精通した設計士や病院の作業療法士に相談をしてみることです。
設計士はリフォーム設計のプロですし、作業療法士は日常動作についてどういった設備や道具が優れているかの知識を豊富に持っているため、リフォームをする上で有益なアドバイスをしてもらえます。
また、保険会社側からしても、「自宅介護に詳しい設計士が設計した」「作業療法士のアドバイスを仰いでリフォーム内容を決めた」と言われれば、納得できる材料の一つとなりえます。
ベストな流れとしては、
1.入院中にリフォームの設計・見積もりを作成
2.保険会社に設計書や見積書を提示して、リフォームの了解をもらう
3.同時にリフォーム代金は、保険会社から直接工務店(設計会社)に支払ってもらえるように了解を得る
4.退院までにリフォームを完了
5.リフォームの完了を持って、リフォーム代を保険会社から工務店に支払う
と言うことになります。
このようにリフォームをするにあたっては、事前に保険会社から了承を得ている方がスムーズに進むため、保険会社との交渉は弁護士に依頼する方法もあります。
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交通事故が原因で営んでいる自営業に損失が生まれた時、損害賠償を請求する事ができる。請求できる範囲には限りがあるため、しっかり確認する必要がある。
交通事故の被害者が治療を続けていると、一定の時期を迎えた時、加害者側の保険会社から治療終了の打診がある。まだ治療を続けたい意思があるのなら、主治医に相談するべきである。
交通事故で眼鏡や義歯が破損した場合は、医師が必要性を認め、かつ妥当な金額であれば保険会社から購入費用が支払われる。
交通事故の示談前に加害者が失踪した場合には、損害賠償請求することは難しくなるが、加害者側に保険会社がついていれば、保険会社に引き続き請求できる。
交通事故の被害に遭った時、被害者は一貫した主張をするべきであるのと共に、正直に正確な症状を伝える事が求められる。嘘をついて不法の利益を得た場合、詐欺罪に抵触する恐れがあり、注意が必要である。