自営業を営んでいる状況で交通事故に…損害賠償請求は?
【質問】
2ヶ月くらい前に交通事故に遭い、指と上腕を骨折してしまいました。
この怪我で困ったのが、仕事に影響が出た事です。
私は自営業で飲食店を営んでおり、多くはないものの予約を頂けるほどの状況まで経営が上手くいっていました。
しかし、料理人として要でもある指や腕を骨折してしまった事により、お店は休まざるを得なくなりましたし、それまで入っていた予約に関しても、こちらからお断りしなければならない状況になったのです。
当然、交通事故に遭わなければこういった被害を受ける事もありませんでしたので、損害賠償として請求する事はできるでしょうか?
予約をキャンセルしてもらう事になるため、自営業の評判にも大きく関わる問題だと考えています。
【回答】
交通事故による損害で認められるものは、怪我をしたり、物が壊されたりする事、そして金銭的な損害も請求できるのがほとんどです。
主な例をあげますと、サラリーマンが交通事故で仕事を休んだ場合の休業損害でしょう。
そしてこれは自営業を営む方に関しても同様に言える事です。
自営業ですとサラリーマンと違い、月々の収入は一定ではない事が多い事から、主に前年度の収益を参考にして算出されます。
また、今回の事故で予約をキャンセルしなければなくなった事に関しても、一つの損害として認められる可能性があります。
仮に団体客が予約をしている状況とするなら、お店の損失は大きなものになるはずです。
ただ、その場合に請求できる損害は、食品等の原価を除いた利益の部分で、例えば3万円の料金に対して原価が1万円とするならば、2万円分の損害を請求できるという形になるでしょう。
しかし飲食店の予約は前もってキャンセルされる可能性があるため、一概に利益が確定しているものとも言い難いところはあります。
そのような部分が加害者側の保険会社との争点になる可能性も、少なからず考えられるはずです。
さらに、お店を休まなければならない事で、在庫として残っていた食材の消費期限が過ぎるなど、いわば商品に対する損害も発生していると考えられます。
予約や在庫のほか、お店の売り上げに関する損害を主張するには、弁護士の力を借りるのが一つの選択肢としてあげられます。
慰謝料の請求のほか、お店に発生した損害を十分に請求するには、正当な主張と厳密な金額の算出ができるよう、一度弁護士に相談してみるほうが安心ではないでしょうか。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
加害者が加入している保険の上限額が、交通事故による損害額を大幅に超える場合には、保険会社が示談から撤退する可能性がある。
保険会社は約款に従って賠償金を支払うため、個人で裁判所基準の賠償金を要求しても応えてもらえない。交通事故の示談段階でも、裁判を起こすにしても、賠償金額を増やすには弁護士へ依頼すると良い。
交通事故の示談後に後遺症が悪化しても基本的には補償してもらえないが、示談時には予想できなかったほどの著しい悪化の場合は、示談を無効とする判例もある。
仮に交通事故の示談交渉を弁護士に任せたとしても、保険会社と交渉する場に、被害者が同席する事は可能である。しかし、その場合にはスムーズに事を進めるために入念な打ち合わせが求められる。
交通事故という緊急事態では本来の性質が出やすく、不誠実な態度で謝罪のない加害者もいる。憤りを感じても冷静に対処し、十分な損害賠償を受けることに目的を絞ることが大切である。