後見人の弁護士以外に交通事故解決の依頼はできますか?
【質問】
同じ県内に住んでいる一人暮らしの父が、交通事故に遭いました。
父は数年前から認知症を患っており、成年後見人制度を利用して知り合いの弁護士を成年後見人にしています。
介護ヘルパーの方と散歩中に、暴走してきた自動車にはねられた交通事故で、交通事故当初から父の成年後見人の弁護士に交通事故の処理をお願いしています。
ですが、この弁護士は交通事故は不慣れなようで、たびたびこちらからミスを指摘して訂正をしてもらったり、保険会社への連絡を忘れたりします。
そのため、交通事故の解決の件に関してだけは、交通事故に詳しい別の弁護士に依頼したいと思っているのですが、可能なのでしょうか?
可能な場合には、どのような手続きをすればよいのでしょうか?
【回答】
一口に弁護士と言っても、離婚問題が得意な弁護士もいれば、交通事故を専門としている弁護士もいますし、相続や成年後見人などの民法に強い弁護士もいます。
今回の質問者の場合は、成年後見人をされている弁護士は、相続などの民法の紛争に強い弁護士で、交通事故に関しては不得手なのかもしれません。
基本的には交通事故の示談交渉は本人か、弁護士などの代理人、もしくは成年後見人となるため、成年後見人の弁護士が保険会社と示談交渉をするのは、何らおかしいことではありません。
しかし、保険会社との交渉がうまくいっていないところを見ると、弁護士が力量不足であることが推測され、ひいては受け取れる保険金が少なくなる可能性もあります。
そうなると、被後見人の利益を守るためにも、現在の弁護士は不適格と言えるため、交通事故の解決のためにだけ別の弁護士を雇うのは有効だと思われます。
ですが、後見人である弁護士の了承が必要となりますので、うまく交渉をすることが必要になります。
一番良いのが、事前に後見人の弁護士の了承をとってから、交通事故問題に詳しい弁護士に依頼することです。
もう一つ、先に交通事故に詳しい弁護士に相談をして受任の了承を得てから、今の後見人の弁護士に了承をもらう方法もありますが、反対された時に仲がこじれる可能性と、交通事故の弁護士の方から説得してもらえる可能性のメリット・デメリットの両方があります。
弁護士を変えることができないが、保険金額に不満がある場合には、セカンドオピニオンと言う方法もあります。
有料ですが、保険金の算出だけ別の弁護士に依頼し、その計算書に基づいて元の弁護士に保険会社に請求してもらうという方法で、この方法ならば保険金額は依頼人の希望に則したものになり、なおかつ弁護士を変えずに済むため、どうしてもという時には役に立ちます。
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軽微な交通事故などの場合には、弁護士に示談交渉を依頼した結果、増額分よりも弁護料が高くなって、結果的に赤字になる可能性がないわけではない。
自分にも過失がある交通事故の場合、保険会社は自身が示談交渉権があることを盾に、弁護士費用特約の利用を許可しないことが多い。
交通事故の示談交渉は当事者同士が行うか、代理権を有する保険会社か、依頼を受けた弁護士しかすることができないため、たとえ家族であっても示談交渉を任せることはお勧めできない。
損害賠償金に関してはもともと非課税との考え方であるため、交通事故の逸失利益の計算には、 税金が引かれる前の額面の収入が用いられる。
簡単な示談で済むだろうと思っていると、後になって交通事故の相手が嘘をついてくることは珍しくない。交通事故直後に警察へ適切な届け出をし、後で困らないように証拠を残しておくことが大事。