軽傷の交通事故だった場合、慰謝料増額の可能性はある?
【質問】
半年ほど前に、自転車で車道の左端を走行していたところ、対向車線から右折しようとした自動車の前方部が私の自転車の後輪に接触し、倒れて怪我をするという交通事故に遭いました。
すぐに病院で検査を受け、軽いむち打ちと擦過傷という軽傷で、整形外科と形成外科に合わせて20日間通院し今は完治しています。
交通事故後すぐに相手の運転手が契約していた保険会社の担当から連絡があり、治療費は支払ってもらっています。
傷が治ったので対人賠償の金額について話し合いが始まりましたが、提示された慰謝料を確認したところ自賠責基準での見積もりそのままでした。
こちらの過失はなく、先方が100%となっています。
交通事故での慰謝料について調べてみたところ、自賠責基準は最も低いということで、交渉によって増額できればそれに越したことはないと思いますが、このような軽傷のケースでも増額は可能でしょうか。
また弁護士に依頼すると、成功報酬でこちらが赤字になってしまうのではないか、という不安があります。
ちなみに弁護士費用特約はありません。
【回答】
このような軽傷であるケースで問題になるのは、入通院慰謝料(傷害慰謝料)を増額できるかどうかです。
入通院慰謝料は、交通事故による疾病で入通院したことに対する慰謝料として、入通院日数もしくは治療期間に応じて支払われます。
慰謝料には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、それぞれの入通院慰謝料の例を比較してみます。
自賠責基準では、1日につき4,200円、入通院日数と治療期間のいずれか少ない方を採用します。
30日であれば126,000円となります。
次に任意保険基準での例を見てみると、各社で設定が違うとはいえ、一般的には自賠責基準と同じ30日では126,000円となっています。
したがってご質問者様のケースでも、保険会社は自賠責基準と同基準の自社基準で、慰謝料の提示をしていると考えられます。
次に弁護士に交渉を依頼した際、つまり訴訟を起こした場合の基準額を見ると、30日で19万円となっており、自賠責基準・任意保険基準に比べ64,000円増額します。
こういった基準額の表はインターネットで見ることができるので、念のため確認してみてください。
ただしあくまで一例であり、軽傷であっても交通事故の状況や怪我の程度、治療の状況によっては、他にも増額できる費用があるかもしれません。
また、弁護士費用を差し引いたときにマイナスになるかどうかは、弁護士費用の設定によって違ってきます。
無料相談を利用したり、料金について質問してみてください。
手間や時間はかかりますが、弁護士が無料で手伝ってくれる交通事故紛争処理センターを利用するという方法もあります。
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保険会社と示談交渉で納得できる回答がもらえず裁判と言われた場合、弁護士を通じて交渉した方が有利に進められる。
交通事故の示談交渉は、当事者が認めるのであれば、他人に任せ、対応してもらう事は可能である。ただし、対価を得る事は弁護士以外禁止されているため、無償で対応してもらう必要がある。
弁護士に交通事故の示談交渉を任せても、示談交渉の場に依頼主が同席することは可能であるが、事前の打ち合わせが重要となってくる。
交通事故の交渉で、「示談」「調停」「裁判」の違いは、示談は当事者同士の話し合い、調停は話し合いの場に裁判所の調停委員が立ち会う、裁判は文字通り裁判で内容を決めることを言う。
交通事故の示談を他人に任せることはできるが、様々な問題が発生する可能性があるため、法律と示談のプロである弁護士に示談を任せる方がいい。