交通事故で弁護士に示談を依頼して赤字になることはある?
【質問】
バイクで大通りを走っていたところに、左の路地から出てきたタクシーをよけきれず、衝突してしまう交通事故に遭いました。
スピードが出ていたためバイクは大破、自分も緊急手術を受けてしばらく入院し、退院後もリハビリに通ってようやく仕事に戻ったところです。
退院後、タクシー会社が契約する保険会社の担当と示談の話し合いが始まったのですが、大通りを走っていた私の方の過失が大きいと言われ、「6:4」と言われました。
こっちが走っていた大通りの方が優先道路で向こうが急に飛び出してきたのに、全く納得がいかず抗議しましたが、こちらに前方不注意やすり抜けがあったなどと言ってきます。
体もまだ完全に回復したわけではなく、仕事に復帰したばかりで、こういった交渉による負担が精神的にも体力的にも大きく、こちらも知識が乏しいのでてこずっています。
弁護士にお願いしてみようかと思いますが、料金がかさんで赤字になってしまわないかが不安です。
交通事故の処理を弁護士に依頼することで、損害賠償の支払いを受けても赤字になってしまうことはありますか?
【回答】
交通事故後の対応で弁護士を利用することのメリットとデメリット、そして弁護士費用特約の役割について確認しておきましょう。
交通事故被害者となった場合、治療費や慰謝料といった損害賠償について、加害者が加入している保険会社と交渉することになります。
保険会社は加害者の代理であり、ビジネスとして保険金を支払う算出をするため、支出額をできるだけ抑えようとしてきます。
裁判となった場合の参考額である「裁判基準」よりも少額の「任意保険基準」で示談金を提示してくることでしょう。
そんなときに役に立つのが、交通事故に強い弁護士のサポートです。
ケースバイケースでの最善の交渉により示談金額を増額できる可能性が高くなり、面倒な対応を専門家に任せられることがメリットです。
一方で、弁護士費用が必要なことをデメリットと感じられるケースもあることでしょう。
弁護士報酬が「賠償金の30%」としている弁護士に依頼し、示談金を80万円→100万円に増額できた場合には、20万円の増額に対して30万円の弁護士費用を支払います。
結果的には、依頼せずに示談金を受け取っておいた方が得だった、つまり赤字と見ることができます。
弁護士費用特約では300万円程度を上限とするものが多く、弁護士費用というデメリットを心配する必要がなくなります。
上記の例でも30万円の弁護費用は全額保険でまかなわれるため、賠償金をそのまま受け取れ、赤字を回避できます。
弁護士費用特約の契約の有無、さらに示談金額と弁護士報酬の設定を確認し、ケースバイケースでの判断が必要です。
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弁護士に交通事故の示談交渉を任せても、示談交渉の場に依頼主が同席することは可能であるが、事前の打ち合わせが重要となってくる。
交通事故の示談交渉は、当事者が認めるのであれば、他人に任せ、対応してもらう事は可能である。ただし、対価を得る事は弁護士以外禁止されているため、無償で対応してもらう必要がある。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
簡単な示談で済むだろうと思っていると、後になって交通事故の相手が嘘をついてくることは珍しくない。交通事故直後に警察へ適切な届け出をし、後で困らないように証拠を残しておくことが大事。
交通事故の示談を任せる弁護士選びのポイントは、交通事故に精通していて、フットワークがきく近隣に弁護士事務所がある弁護士で、相性が合うと思った場合に依頼をした方が良い。