むち打ちと別の怪我の症状固定日は違っても良いの?
交差点で対向車と衝突してむち打ちと足の複雑骨折の診断を受け、足の骨折で2カ月入院し、その間、むち打ちの治療も行いました。
退院後も足に痛みがあったが、足の骨折の治療をした外科医は、骨折は治っているので、症状固定をして後遺障害の認定を受けるよう勧められました。
一方、むち打ちを治療している整形外科の先生からは、まだリハビリ治療を継続するように言われ、加害者側の保険会社からは、症状固定をしたら示談を始めると言われました。
交通事故で、むち打ちだけでなく他の怪我をして後遺症が残った場合、むち打ちの治療は継続したまま、他の後遺症について症状固定できます。
頭部打撲による脳損傷と骨折、むち打ちと打撲というように、交通事故は複数の部位を怪我することがよくあります。
むち打ちの他に、骨折などの重傷を負って後遺症が残った場合、むち打ち以外の怪我について症状固定をしても、損害賠償請求で問題は起こりません。
ただ、症状固定日が後遺障害を計算する起算日となるので、むち打ちについても後遺障害が認められた場合、骨折と怪我で後遺障害の起算日が変わることは理解しておきましょう。
症状固定をした後の治療は自分の健康保険を使う
症状固定をした怪我は、治療を受けてもそれ以上良くならないことが明白になったわけですから、保険会社は医療費の立て替え払いを打ち切ります。
先ほどのケースでは、むち打ちの治療は立て替え払いが可能で、症状固定をした骨折の治療費は自己負担となります。
自己負担となる治療費を含めた賠償金は、今後、後遺障害による損害として加害者に請求することになります。
今回のケースでは、症状固定後に、ご自分の健康保険を使って治療をすることについて説明しましたが、交通事故の被害者が、はじめから健康保険で治療することも可能です。
自己負担分として支払った1~3割の医療費は、損害賠償請求時に加害者に請求します。
ただし、怪我が治るまでどのくらい治療費がかかるか見通しが立たず不安を覚えることになりますし、重傷の場合は治療期間がわからず、高額な立て替え金が長期間発生することになりかねないので、自由診療で全額保険会社の立て替え払いで治療するのが一般的です。
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交通事故によるむち打ちの治療が長引くのは、頸椎だけでなくその周辺の他の組織も傷付いているからである。後遺症が残った場合には後遺障害を認定してもらうために申請手続きに入る。
保険会社は交通事故によるむち打ちは軽微な受傷と考えているため、治療期間が3カ月を超えると、治療費の打ち切りを言ってくる可能性が非常に高い。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
交通事故によって負ったむち打ちの治療中に治療費を打ち切られた場合には、医師に治療の必要性を認めてもらい、弁護士を通じて加害者側と示談するとよい。
むち打ちは、自分の健康保険を使って治療することができる。特に、被害者の過失割合が大きい場合は、健康保険による治療により、受け取る保険金が増えることがある。