むち打ちの治療を長引かせないために注意すべきこととは
交通事故でむち打ちになり、数年経っても症状が消えず苦しむ人は大勢います。
重度のむち打ちの場合、主治医が「現在の症状はそのまま残る」と診断します。
すなわち、症状固定となり、その後は、後遺障害を認定してもらうために申請手続きに入ります。
しかし、後遺障害が認定されなくても、むち打ちによる痛みや不快症状が消えるわけではありません。
むち打ちは、後遺障害等級を認められるかどうかに関わらず、事故に遭った後も、長い間被害者を苦しめる病気なのです。
完治するにせよ、症状が軽くなるにせよ、むち打ちの治療は時間がかかることを理解してください。
ただ、患者さん自身の心がけ次第で、むち打ちの治療期間を短縮し、痛みをより早く軽減することは可能です。
むち打ちを長引かせないために注意すべきことをお伝えします。
むち打ちは複数の部位を怪我している
追突事故やスポーツ中の衝突などで、首が大きくしなると、首を支えている頸椎(けいつい)とその周辺の組織が損傷します。
頸椎の周りには、筋肉、靭帯(じんたい)、腱(けん)、椎間板(ついかんばん)などの組織があります。
頸椎は、首を構成する7つの骨ですから、頸椎を骨折したり脱臼すれば、レントゲン検査ですぐわかります。
しかし、筋肉や靭帯などの損傷は、レントゲン検査では発見しにくいのです。
検査を行う病院としても、腱や筋肉を傷めているかもしれないから、もっと検査をしようと、隅々まで徹底的に検査をするわけではありません。
その結果、目立った外傷があれば見つけられますが、それ以外の損傷は見過ごされてしまうのです。
しかし、見逃された頸椎周辺組織の損傷こそが、むち打ちの原因ですから、検査では何も悪いところがなかったのに痛みが出てくるしむち打ちに苦しむことになります。
もう一つの問題は、複数の箇所を損傷していると、それぞれの部位で治療方針が異なるので、どちらかの部位が犠牲になることがあるということです。
たとえば、筋肉は使わないと衰えるので適度に動かしてリハビリするべきですが、頸椎の損傷は、固定が基本です。
骨は固定するべきだが筋肉は動かしたいとはいえ、それらの箇所が隣接していれば、より緊急度が高い受傷箇所を優先して治療することになります。
その結果、受傷直後は、頸椎を固定するカラーを付けて首に負担をかけないようにして、筋肉に刺激を与えることは優先順位からはずれます。
よって完治するまでの治療が長引くこととなります。
むち打ちと診断されたら、頸椎だけでなく、他の部位にも損傷がないか、精密検査を受けるようにしましょう。
保険会社はむち打ちの後遺障害を否定しがちで、むち打ちによる後遺障害を申請しても審査に通らないといったケースもあるので、むち打ちの治療で困ったことがれば、まずは弁護士にご相談ください。
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交通事故で怪我をした直後は自律神経の中の交感神経が活発に働いていて痛みを感じにくいため、むち打ちは症状を感じにくいと考えられている。
交通事故のむち打ちの症状固定をした後も通院を続けた方が、後遺障害認定の時に認定されやすくなったり、示談交渉で有利となることもある。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちになる原因の第1位は交通事故である。交通事故の衝撃で一瞬にして頸椎、椎間板、関節包、頸部の筋肉などを損傷してしまう恐れのある重い傷害である。
むち打ちによって発生する損害は治療費だけではないので、治療が終わったら加害者の支払いは終わりではなく、その他の損害賠償金について話し合うべきである。