交通事故直後には自覚症状がないむち打ちについて
交通事故に遭った直後は、どこも痛いところはなかったのに、家に帰ってから首が痛み出した、事故から3日後に腕が上がらなくなったなどの症状を訴える人が多くいます。
強い衝撃を受けた直後には自覚症状がないのが、むち打ちの特徴です。
むち打ちの原因と自覚症状に時間差があるのは当然のことという認識を持って、交通事故に遭ったら、自覚症状がなくてもその日のうちに専門病院にいって精密検査を受けましょう。
むち打ちの痛みが後から起きる原因を説明する際に、自立神経の働きが考えられます。
自律神経は自分でコントロールできないもので、交感神経と副交感神経があり、交感神経は「動」、副交感神経は「静」の分野に関わっています。
「動」すなわち人体の活発な活動に関与しているのが交感神経です。
興奮する、動悸が速くなる、血圧を上昇させる、発汗する、体温が上昇するなどの反応は、交感神経の作用によるものです。
交通事故に遭ったとき、突然の衝撃や、事故後の警察による現場検証などで、体は興奮の極みに達し、交感神経が活発に活動します。
交感神経が優位に働いているとき、人体は痛みを感じにくくなります。
お坊さんが護摩を焚いて炎の上を歩いて渡るとき、燃えている火は熱いにもかかわらず、神経を集中して交感神経が優位になっているので、熱さを感じないのと同じ理屈です。
交通事故の現場検証が終わり、怪我もしていないようなので物損事故ということで処理されて家に帰ったら、環境はがらっと変わります。
部屋で静かにしていると、副交感神経が優位になって、交感神経の働きにより感じていなかった痛みを感じるようになるのです。
気のせいではないむち打ちの症状
自律神経の影響で痛みを感じるなら、単なる「気のせい」による怪我と指摘されてしまいますが、むち打ちは、病名として認められており、診断方法も確立しています。
頭痛がする、体がだるいといった自覚症状を検査で確定するのは困難だとあきらめないでください。
レントゲン、CT、MRIなどの画像診断で頸椎(けいつい=首の骨)とその周辺組織の病変を特定することで、むち打ちを科学的に立証することができます。
しかし、交通事故発生から時間がかなり経ってから検査を受けた場合、事故とむち打ちの因果関係を立証することが困難になる場合があります。
事故の直後およびその後も検査を受けていれば、時間の経過につれ、症状がどのように変化したかを証明できて、交通事故とむち打ちの因果関係を立証することがたやすくなります。
保険会社は交通事故とむち打ちの因果関係を認めたがらない傾向にあるため、保険会社にむち打ちを否定された方や、むち打ちによる後遺障害を申請しても審査に通らなかった方は、弁護士にご相談ください。
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交通事故によるむち打ちの治療が長引くのは、頸椎だけでなくその周辺の他の組織も傷付いているからである。後遺症が残った場合には後遺障害を認定してもらうために申請手続きに入る。
保険会社は交通事故によるむち打ちの治療は認めても、継続治療は認められにくいといった特徴があるため、完治するまではむち打ち患者側も対応策をとる必要がある。
むち打ちの症状が交通事故から数日後に出る理由には、身体的な理由と心因的な理由があるため、数日後にむち打ちの症状が出ることは珍しくない。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
保険会社はむち打ちの治療費を支払いたがらない傾向が強いので、交通事故直後から症状や治療法に一貫性を持たせて、保険会社に対抗をした方がよい。