交通事故で負ったむち打ちは完治する?しない?
日本国内で交通事故に遭って怪我をした人のうち6割はむち打ちになるという統計があります。
平成25年度における交通事故のけが人は約73万人なので、この年だけで44万人がむち打ちになったわけです。
毎年、何十万人もの人がむち打ちになっていたら、街中がむち打ちの人であふれてしまうように思えますが、実際にはむち打ち患者の多くは症状が収まって完治し、もとの生活に戻っています。
むち打ちは、完治が可能な病気ということが言えるでしょう。
その一方むち打ちは、病巣の損傷が軽度な場合から重度の場合まであるので、「かならず完治する病気」と断言することはできないのです。
また、交通事故の直後は首や肩に痛みがなく、たいした怪我ではないと思っていたのに、翌日から徐々に痛み始めて、数日後には仕事に差し支えるほどの痛みに耐えきれず受診した・・など、むち打ちになった人は口々に、はじめはそれほど痛みがなかったのに、後からだんだん痛みがひどくなってきたと言います。
この、受傷した時期と怪我による症状が発現した時期のタイムラグが、被害者と保険会社の話し合いにおける大きな問題点となります。
人身事故の直後にむち打ちの諸症状を訴える場合は、相当に重度の損傷であり、ただちに病院で精密検査を受けることで、事故とむち打ちの因果関係を証明できます。
しかし、事故が発生してから数日後に痛みが出たり、ときには1週間以上経ってからむち打ち特有の症状が現れることも珍しくありません。
つまり、事故発生から日にちが経過しているので、交通事故で怪我をしたから痛むという事実を証明することが困難になるのです。
保険会社の主張は?
任意自動車保険は、事故で怪我をした被害者の医療費を払ってくれますが、事故との因果関係がはっきりしない場合、または事故とは無関係の怪我や病気による症状については、医療費を支払いません。
むち打ちを完治させる治療でもめる原因の一つに、「交通事故発生から1週間経って発症した病気は、事故とは無関係である」と保険会社が主張することにあります。
しかし、むち打ちは筋肉の奥深いところに小さな損傷ができ、その痛みがだんだん強くなることが報告されています。
ごく軽度の、しかも深いところにある傷は、初期の検査でも見逃されやすく、痛みが出て、はじめて「もしかしてむち打ちかもしれない」と気づくのです。
保険会社との交渉で、むち打ちと交通事故の因果関係を認めさせるには、事故の直後に精密検査を受けて記録を残すことです。
時系列に沿った客観的な記録は、示談交渉で被害者の主張を立証する強い味方となります。
むち打ちと交通事故の因果関係が認められない場合にはまずは弁護士への相談を検討してみてください。
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交通事故によるむち打ちの治療が長引くのは、頸椎だけでなくその周辺の他の組織も傷付いているからである。後遺症が残った場合には後遺障害を認定してもらうために申請手続きに入る。
交通事故で怪我をした直後は自律神経の中の交感神経が活発に働いていて痛みを感じにくいため、むち打ちは症状を感じにくいと考えられている。
交通事故により負ったむち打ちを後遺障害と認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。
交通事故が原因でむち打ちになった場合には、警察に通報する・病院にすぐ行く・保険会社が提示する示談内容で示談しないことがポイントとなる。
交通事故に遭った時、その日のうちに病院へ診察に行くのが望ましい。もし後日に病院へ行ってむち打ちが発覚したとしても、交通事故との因果関係が認められない可能性がある。