むち打ちの後遺障害認定を受けるには
交通事故において後遺障害認定が受けにくいものの一つが、むち打ちの後遺症です。
ですが、知人や親類などから「昔、交通事故にあったことがあって、雨の日には首がうずく」、「5年前に交通事故にあってから、むち打ちの所がつって首が曲げにくい」と聞いたことがないでしょうか?
むち打ちは後遺傷害認定が受けにくいのに、むち打ちの後遺症に悩んでいる人は多くいるという矛盾した状況があるのですが、これはむち打ちの医学的所見がしづらいのと、後遺傷害認定の基準がネックとなっています。
むち打ちに関係する後遺障害認定の基準では、一番下の14級でも「局部に神経症状を残すもの」の「医学的な所見がある」、12級で「局部に頑固な神経症状を残すもの」の「医学的な証明がある」とされており、医師の所見や証明が必要になります。
しかし、「むち打ちには、いくつかの種類があります」でも述べた通り、むち打ちの種類によってはレントゲンやMRIには映らないため、医師がむち打ちと認めないことがあります。
後遺障害認定が受けられる分岐点とは?
同じむち打ちでも後遺障害認定が認められた人と、認められなかった人の差はどこにあったのかと言うと、ひとえに後遺障害等級認定をする「損害保険料率算出機構」に提出した書類によります。
12級の認定には医学的な証明が必要になりますので、レントゲンやMRIで頸椎や神経根の異常が映っていればそれが証明になります。
しかし、14級の認定は医学的な所見から推定されればよいため、レントゲンの画像などの物証が必ずしも必要ではありません。
そのため、医師が書いた診断書、ひいては医師が診断書を書いた内容の原因となる患者の行動が大きく左右します。
後遺傷害と認定されるのには、6カ月以上の治療の実績が必要です。
つまり、2カ月間の入院ののち4カ月の通院であればOKですが、退院後1カ月の通院であれば合計4か月の治療期間になるため。認定外になります。
また、6カ月以上通院していても月一回の頻度であれば治療期間と認められづらくなるので、最低でも週1回の通院頻度が必要です。
さらに重要なのは、医師の所見です。
医師の目から見て患者が、「交通事故が原因で、むち打ちの後遺症が残っている」と信じるに足りる状態でなければいけないので、「足の打撲で当初通院していたのに、1ヶ月も経ってからむち打ちだと言ってきた」「むち打ちで首が痛くて手がしびれていると言っているのに、毎回重い鞄を持って通院している」「首が痛くて仕方がないと言っていたのに、待合室で肩と頭にスマホを挟んで電話をしていた」と言うようであれば、医師でなくてもむち打ちの後遺症が本当にあるのか首をかしげることになります。
そのため、医師に後遺障害認定をしてもらうには、後遺症の症状を診察のたびに訴える他に、行動も気を付ける必要があります。
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むち打ちの治療期間は大半の患者が2週間以内ではあるが、長期にわたる場合があり、医師から適切なアドバイスを受けて治療期間を決める必要がある。
むち打ちの症状が長引く原因としては、筋肉組織の重傷、骨の損傷・神経組織の損傷などが考えられるので、MRIを主体とした精密検査をする必要がある。
交通事故の被害者本人が、むち打ちだと思うのが自覚症状(自覚所見)で、医師がMRIなどの画像でむち打ちと判断するのが医学的他覚所見である。
むち打ちを簡単に後遺障害認定してもらうことは難しいが、積極的に通院して、事故の直後と最近の画像診断を用意するなどすれば、後遺障害を認められる可能性が高くなる。
むち打ちとなって治療を受けても症状が良くならないことが明らかになったら、後遺障害診断書を書いてもらえば、むち打ちによる後遺障害等級認定の申請ができる。