症状が長引きなかなか治らないむち打ち…原因は?
交通事故に遭い病院でむち打ちと診断されたので、「1週間くらいで治るかな?」と思っていたにもかかわらず、症状が長引きなかなか治らないということがあります。
むち打ちと診断が下されるものの多くは首の捻挫、つまりは首の筋肉の断裂や骨がずれたことによる痛みなので、筋肉が修復されたり骨の位置が戻ったりすれば治ります。
そのため、むち打ちの多くは2週間ほどで症状がおさまり、完治します。
しかし、中には1カ月たっても2カ月たってもむち打ちの症状が良くならず、加害者側の保険会社から「治療費の支払いの打ち切り」と言われ、困り果てるケースもあります。
そもそも、「交通事故で首が痛い」と患者が病院に行って、医師も患者が首の痛み以外を訴えていない場合は、『たぶんむち打ちだろうな』と予想しながら診察します。
検査もレントゲンを撮って触診と目視くらいですので、骨に異常がなければむち打ちと診断がされます。
レントゲンは骨は映りますが、筋肉組織はほとんど映らないため、筋肉組織に異常があってもほとんどわかりません。
MRIを使った精密検査であれば筋肉組織まで見ることができますが、費用も掛かりますし、MRIの装置がない病院もあるため、むち打ちの症状しか訴えていない患者であればレントゲンどまりであるのが現状です。
むち打ちが長引く原因とは?
むち打ちと診断された初期は湿布と鎮痛剤が処方されて回復を待つ、いわゆる「日にち薬」の対応になります。
しかし、2週間たっても良くならない場合には、単なる筋肉組織の損傷ではないといえます。
原因はいくつか考えられ、「筋肉が2週間程度では修復できないほど、傷ついている」、「骨に異常があり、ひびやズレがある」、「神経組織が傷ついており、患部自体に怪我がないにもかかわらず、神経痛が発生している。」など、レントゲンだけでは発見しづらい物が多いです。
そのため、むち打ちの症状がおさまらない場合は、MRI検査を必ずしてもらい、必要ならばその他の検査もしてもらいましょう。
もし、現在かかっている病院に設備がないといった場合には、交通事故の外傷に強い病院を紹介してもらい、転院することも検討した方が良いでしょう。
特殊な例としては心因による痛みもあります。
むち打ち自体は治っているが、「加害者の対応が許せない」、「むち打ちの症状がある間は会社を休める」といった様々な心因から『自分はまだむち打ちなのだ』と思い込むことにより、痛みがあると感じているケースです。
判例でも「むち打ちの症状は患者の心因によるもので、後遺症ではない」というものもあります。
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むち打ちの検査は、レントゲンやCTなどの画像診断のほかに、筋萎縮テストなどの神経検査や脳波検査がある。むち打ちが長引くようであれば、画像検査のほかの検査を受けるとよい。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
交通事故によるむち打ちの検査方法は多数あるが、一番重要視されるのは深部腱反射検査であり、この検査を受けている方が有利となる。
むち打ちの治療期間の多くは3か月以内で完治するものが多いが、むち打ちの症状によっては症状が長引くこともあるので、保険会社が治療費の打ち切りを言ってきても、医師の指示があれば治療を続けられる。
一般的なむち打ちの場合、治療期間の最大は3カ月が目安とされているが、症状によってはそれを超える期間の治療であっても認める判決がある。