死亡事故の葬儀で加害者に関する注意点について
生前から自分や家族の葬儀を想定して、葬儀社へ手配や予定を立てている方でも、「実際に葬儀を執り行ったら、いろいろと不手際が出たり、想定外のことが起きた。」ということも少なくありません。
交通事故による死亡の場合、検死が必要となります。
病院に収容されたのちに死亡した場合には、治療した医師による死亡診断書が発行されますが、事故現場で死亡が確認されたり、ご遺体に不審な点などがあったりする場合には検死が行われます。
そのため、ご遺体が遺族の元へ戻ってくるのは、即日~約2週間後と幅があります。
家族が死亡事故に遭われた場合、驚きや悲しみが癒える間もなく葬儀を執り行わなければならないことがほとんどです。
心構えが出来ていない上に混乱のさなかで、葬儀を執り行わなければいけないため、どうしてもバタバタとなってしまいがちです。
『いきなりの死亡事故だったため喪主が放心状態で、周りの親戚が代わりに葬儀を決めて進めてくれたが、内容が良くないだけでなく、費用も多額にかかった』というケースもあります。
普通の葬儀ならば親族内の問題で収まるのですが、死亡事故の場合のちのちの加害者との示談等に影響を及ぼすことがあるため、さらに気を配らなければいけない点がいくつかあります。
加害者への対応は葬儀の時点から始まる
『加害者に葬儀に参列して欲しい』、反対に『加害者には葬儀に参列して欲しくない』といった、遺族の加害者に対しての思いがあると思いますが、先に対応を決めておかないと、葬儀当日に揉めるケースがあります。
葬儀に参列して欲しい場合には、加害者か加害者の関係者(加害者家族・弁護士)に葬儀に参列して欲しい旨を伝えるとよいのですが、死亡事故の場合は加害者が警察に拘留されていて参加できないこともあります。
反対に参列して欲しくない場合には、加害者側に連絡をしなくても良いのですが、遺族の意に反して加害者が葬儀に来ることがあります。
純粋に謝罪したいから来ることもありますが、『葬儀に参列して、遺族も香典を受け取っているので、罰を軽くしてください。』と、のちのちの刑事裁判で有利となるので、打算的に来ることもあります。
参列者が多くて受付係が気付かずに香典を受け取ってしまったり、葬儀中に遺族と加害者が押し問答となったりする可能性があるため、事前に受付係には「加害者が来たら、参列は断って、香典も受け取らない。」と、重々申し伝えておく必要があります。
また、死亡事故の場合、葬儀費用を加害者側に請求することができます。
自賠責保険から支払われる葬儀費用上限は100万円で、葬儀・お花代・読経代・戒名費用・精進落とし費用などは支払われますが、香典返しや引き出物代などは含まれないため、予算に制限がある場合には注意が必要です。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の場合、病院付の葬儀会社に葬儀を頼むことが多いが、自分で選んだ葬儀会社に頼むこともできるため、葬儀費用を踏まえて依頼をする方が良い。
交通死亡事故となった場合、相手側の保険会社から葬儀代が支払われることもあるので、事前に保険会社に確認をした方が良い。
死亡事故の遺族は、葬儀や示談・遺産相続など多数の手続きが必要となってくるため、弁護士にアドバイスをもらいながら手続きを進めていく方が良い。
家族が死亡事故に遭った場合には示談交渉を行うが、損害賠償請求権の時効は事故日から5年である。しかし、提訴や催告、承認などで時効の更新(中断)を行う事が出来る。
介護人が死亡事故に遭うと、被介護人の処遇が問題となるが、保険会社からの介護料の補填はないので、通常の保険金で被介護人の処遇を考える必要がある。