死亡事故となり示談金が支払われるまでの流れについて
死亡事故の遺族にとって、死亡事故の示談金がいつもらえるのかは切実な問題となります。
死亡事故の被害者が家計を支えていた人とは別であったり、遺族に十分な貯金があればしばらくは生活できるでしょうが、家計の大黒柱の人であったり、パートなどで家計を助けていた主婦などが被害者であった場合、たちまち生活に困るということもあります。
特に、自営業で死亡時の保障を用意していなかったり、借金などで自転車操業のような状態の家計の家庭だったりした場合、1回の給料が入らなかっただけで致命的な困窮に陥る事もあります。
また、死亡事故で切り離せないのが葬儀です。
まれに葬儀をしないという被害者遺族もいますが、小さくとも家族葬をすると30万円以上するため、借金をして葬儀をする遺族もいます。
もちろん金銭的に余裕のある家庭もあるでしょうが、いつ示談が終わり、いつ示談金が支払われるのかは、遺族にとって大きな関心であることは間違いないと思います。
理論的最速は死亡事故日だが…
法律のみで見た場合、最速の死亡事故の示談金の支払いは、死亡事故の当日になります。
例えば、死亡事故の当日に加害者が、「死亡事故の原因は私に全面的にあるので、1億円現金で今すぐ払うので、示談してください。」と申し出て、被害者遺族が受け入れれば示談は終了になります。
もちろん示談が終了したからと言って、死亡事故の刑事責任がなくなるわけではありませんが、民事の被害者に対する損害賠償は済んだことになります。
しかし、実際は加害者が死亡事故の莫大な損害賠償金を用意できることは稀ですし、何より被害者遺族は死亡事故の混乱の中にいますので、このような加害者の早期の示談の提案は常識外れと言えます。
死亡事故の加害者に自動車保険会社が付いている場合には、保険会社の担当が仏教の喪中である四十九日を過ぎてから連絡してくることが通例です。
その後、死亡事故の被害者の収入などの調査を経て示談金額が決まりますが、遺族が被害者が在籍していた会社に収入証明をもらったり、自営業であれば帳簿の提出などが必要となるため、最低でも2週間は見た方が良いです。
その後、示談金額や内容について相手方と話し合うことになるのですが、内容に不満があり示談がまとまらなければ、当然示談金の支払いは伸びます。
示談がまとまった場合、2週間ほどで保険会社から指定した銀行口座に振り込まれます。
つまり、実際の支払いは最速でも80日ほどかかる事になります。
80日だと約3か月弱ですので、住宅ローンや家賃の支払いが滞っている場合には、銀行から差押えの通達や大家から退去の通知が来てもおかしくない期間になります。
示談が終わっていなくても仮払金や一時金と言った方法で先払いを受けることもできますので、早目に弁護士に相談をする方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の賠償金を受け取る人は、亡くなった被害者から賠償請求権を相続した相続人である。死亡事故により相続が発生したら、弁護士に相談することが望ましい。
交通死亡事故となった場合、相手側の保険会社から葬儀代が支払われることもあるので、事前に保険会社に確認をした方が良い。
死亡事故は、物損事故や人身障害事故とは異なり、被害者本人が損害賠償請求をする事ができない。誰が被害者に変わって請求できるかというと、遺族が請求する事になる。
家族が死亡事故の被害者となり、相続放棄をする場合、相続放棄の期限が死亡したことを知ってから3か月なので、死亡事故の場合は早期に弁護士に相談するとよい。
死亡事故の損害賠償請求は、亡くなった方の相続人が行う。複数の相続人がいる場合は、相続人の代表者が加害者側の保険会社と示談交渉することになる。