死亡事故で相続放棄の可能性有なら即弁護士に相談を
交通死亡事故が起こった場合、被害者遺族は葬儀や各種手続きがいきなり降ってわいたような状況となるため、交通事故の示談は落ち着いてからというのが通常になります。
自動車保険会社も、死亡事故の場合は遺族の心境を鑑みて、四十九日の忌明けを待ってから連絡してくることが多いです。
もちろん遺族の心情を考えれば、心が落ち着いて日本人に多い仏教の葬儀の一区切りである四十九日を過ぎてから連絡をしてくるのは、ある意味正しいと言えます。
ただ、遺族側で相続放棄などの問題がある場合には、四十九日まで待つというのは危険であると言えます。
「交通死亡事故の場合、遺族は保険金が入って儲かるんでしょ?」という世間の考え方がありますが、そう簡単なものではありません。
交通死亡事故の場合、自賠責保険から最高3000万円の保険金が支給されますが、最高3000万円であって、死亡事故の被害者が高齢であったりした場合には2000万円程度、死亡した側に大きな過失があった場合には相手側の損害と差し引いて0円どころか、遺族が相手側に弁償ということもありえます。
相続放棄の可能性があるならば弁護士へ
死亡事故の被害者の遺族が「亡くなったお父さんだけど、貯金もないが借金もないしゆっくり示談して、死亡事故の保険金を受け取ればいいわ。」と考えていたのに、先述の通り相手側に支払わなければいけないと分かり、大いにあわてるということもあります。
その他にも、亡くなってから消費者金融などに多額の借金があったことが発覚した場合、死亡事故の保険金では賄えないケースもあります。
このような場合、遺産も相続しない代わりに負債も相続しない『相続放棄』という手続きを取る方もいるのですが、ここで問題となるのが期限です。
民法の規定では、相続があること(死亡したこと)を知ってから3か月経過すると、遺産も負債も丸ごと相続する『単純相続』をしたとみなされます。
死亡事故の場合、交通事故の相手の保険会社から連絡があるのが四十九日を過ぎてからになるので、相続放棄をするには1か月ちょっとの猶予しか残っていないことになります。
すでに別の借金等で相続放棄を予定していて手続きにかかっているのならばよいのですが、1から相続放棄のための調査・書類作成・家庭裁判所への手続きとなると、かなり時間がありません。
しかも、相続人が複数の場合には、相続人同士で話し合ったり、代理人の手続きをしたりと、相続放棄の手続きが「相続をある事を知ってから3か月」に間に合わないことが往々にあります。
そのため死亡事故の場合、早目に弁護士に相談をして、示談内容と相続の内容を調べて、単純相続で良いのか相続放棄をした方が良いのか判断した方が良いです。
特に、『死亡事故の被害者にも過失があり、相手が死亡もしくは遷延性意識障害等の大きな後遺症がある』といった場合、相手側への賠償金が遺族が受け取る死亡保険金を上回る事もあるので、要注意だと言えます。
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死亡事故の賠償金を受け取る人は、亡くなった被害者から賠償請求権を相続した相続人である。死亡事故により相続が発生したら、弁護士に相談することが望ましい。
被相続人に多額の借金がある場合には相続放棄をすることが多いが、死亡事故の場合には保険会社の保険金請求権も放棄してしまうことになるため、相続放棄する前に弁護士に相談した方が良い。
死亡事故の示談金を保険会社が支払う場合は、最速でも死亡事故から3か月程度かかるので、金銭的な問題がある場合には早目に弁護士に相談をする方が良い。
介護人が死亡事故に遭うと、被介護人の処遇が問題となるが、保険会社からの介護料の補填はないので、通常の保険金で被介護人の処遇を考える必要がある。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。