死亡事故の相続人同士で意見が割れた場合には?
死亡事故の損害賠償請求権は、被害者の相続人が有することになります。
相続人が一人息子だけといった、相続人が一人のみという場合には問題はないのですが、相続人が複数人いる場合には問題が発生することがあります。
加害者や加害者の保険会社は、基本的に示談交渉をするのは代表者の1人に絞って欲しいと言ってきます。
そのため、死亡事故で相続人が複数人いるような場合には、他の相続人が代表者に委任状を渡して、代表者が示談交渉をするのが普通です。
死亡事故の損害賠償金は多額となることが多いため、示談金額や相続割合で相続人同士の意見がまとまらないこともあります。
死亡事故の損害賠償請求権には3年という時効の壁がありますので、下手に相続人同士がもめて示談交渉が進まないというのは、どの相続人に対しても不利益が生じ、お勧めできません。
そのため、示談で相続人同士がもめている場合には、ひとまずは加害者や加害者の保険会社と示談交渉を終えてから、示談金の分配割合に関して相続人同士で話し合いをする方が時効を回避する上では有効と言えます。
損害賠償請求は単独でも行える
しかし、相続人の間で感情のもつれなどから、加害者側との示談交渉すらおぼつかないことがあります。
また、示談交渉に関わろうとしないが、相続放棄もしないというのもある意味厄介です。
このような場合どうすればいいかというと、加害者側へ個別に示談交渉をしてもらえるように願い出ると良いです。
もし、死亡事故の法定相続人が妻・子4人で、子のひとりのAさんが加害者へ個別に示談を申し出たとすれば、法定相続分の1/8相当分に関してだけ示談交渉をおこなえばよいことになります。
しかし、保険会社は個別に示談交渉を行うことにより、他の相続人との示談交渉がうまくいかなくなることを恐れて、個別対応にはかなり消極的と言えます。
保険会社の立場からすれば、「早く示談交渉を終わらせてほしい。損害賠償金の取り分などのもめごとは、支払った後に相続人同士で勝手にしてくれ」というのが本音になるからです。
それでも、どうしても個別に示談交渉をしたい場合には、裁判所に訴えるという方法もあります。
最高裁が出した判例では、「個別の示談交渉に加害者は応じるべし」というものであるので、裁判所に訴え出れば高い確率で判例に準じた判決が出るものと思われます。
とはいえ、相続人同士で揉めて示談交渉がはかどらないというのはよくない状況であるため、弁護士を雇って相続人同士の仲介をしてもらうというのも一つの方法になります。
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死亡事故では、加害者と被害者遺族間で、過失割合でもめることが多く、わずかな過失割合の差で金額が大きく変わるため、紛争となることもある。
死亡事故の損害賠償金を受け取る人は、亡くなった被害者から請求権を相続した相続人である。他の相続人が、代表者による示談交渉を反対した場合は、個別に示談交渉できるよう依頼すると良い。
死亡事故の被害者に借金があった場合、遺族は相続放棄した方が良いケースもある。相続放棄をすると死亡事故の損害賠償金を受け取れないが、遺族に対する慰謝料などは受け取れる。
死亡事故の遺族は、葬儀や示談・遺産相続など多数の手続きが必要となってくるため、弁護士にアドバイスをもらいながら手続きを進めていく方が良い。
死亡事故の民事裁判となった場合、加害者側は損害賠償金の遅延損害金も併せて支払わなければいけなくなる。