死亡事故の損害賠償金は誰がどのように受け取る?
死亡事故により家族が亡くなると、遺族のうち相続の権利を持つ人の代表が、加害者側と示談交渉をして損害賠償額を決めます。
示談が成立するか、裁判により賠償額が確定したら、相続人が相続分に基づいて賠償金を分けます。
ここで言う相続人とは、配偶者、法定相続人または遺言に記された受遺者(遺産を受け取る人)です(配偶者は常に相続人になります)。
法定相続人の相続分は、死亡した人に配偶者と子どもがいる場合、配偶者が1/2、子どもが1/2です。
亡くなった人に配偶者はおらず、子どもと兄弟姉妹がいる場合、法定相続人は子どもなので、遺産は子どもが全額受け取ります。
亡くなった人に、配偶者と兄弟姉妹がいる場合は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を受け取ります。
子どもや兄弟姉妹が複数いる場合は、法定相続分を人数で均等に割ります。
例えば、配偶者と子ども2人、賠償金4000万円を受け取った場合、法定相続分は、配偶者が2000万円、子ども1人あたり1000万円です。
死亡事故で親が亡くなり、子どもはすでに死亡しているが、その子どもすなわち孫がいる場合、代集相続といって、孫は、死亡事故による損害賠償金を受け取る法定相続人となり、法定相続分を受け取る権利があります。
相続人の示談方針が一致しなかったら
相続人が複数いるが、死亡事故の損害賠償金についての意見が一致しなければ、いつまで経っても加害者と和解が成立しません。
また、相続人のうちのいずれかが、他の相続人が代表者となって示談交渉をするのに反対して委任状の提出を拒否した場合、代表者が加害者側の保険会社と話し合いを進められません。
そのような場合は、保険会社とよく相談して、相続人が個別に示談交渉できるよう依頼します。
しかし保険会社は、のちのちのトラブルを避けるために相続人の代表者との話し合いを望むので、個別の交渉を拒否される可能性があります。
そのような場合は訴訟を起こし、損害賠償金のうち、法律上、すなわち法定相続分として自分が受け取る権利のある金額を被告人に請求します。
とはいえ、遺産の一部である損害賠償金に関して、1人で裁判を起こすのは大変な労力です。
相続人の間で賠償金についてもめないようにするためにも、死亡事故により相続が発生したら、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士が代理人となってスムーズな示談交渉を目指します。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。
介護人が死亡事故に遭うと、被介護人の処遇が問題となるが、保険会社からの介護料の補填はないので、通常の保険金で被介護人の処遇を考える必要がある。
死亡事故の示談金を保険会社が支払う場合は、最速でも死亡事故から3か月程度かかるので、金銭的な問題がある場合には早目に弁護士に相談をする方が良い。
家族が死亡事故に遭った場合は、いち早く弁護士に相談するのが望ましい。大切な人を死亡事故で亡くしたなかで冷静に判断するのは難しいものの、弁護士選びは慎重に行わないとならない。
家族が死亡事故に遭った際の弁護士費用には、着手金と成功報酬が含まれる。成功報酬を払っても、賠償金が増額されれば、依頼人にとって大きな経済的利益となるため、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。