死亡事故時の相続の注意点、相続放棄する前にすべきこと
家族が死亡事故にあった場合、病院へのご遺体の引き取り、葬儀の手配、役所などへの手続きなど、しなければいけないことが目白押しになります。
その中でも重要な問題が相続で、特に死亡事故の被害者に債務(借金)があった場合には、相続人が困る事となります。
遺産相続は、貯金や不動産などのプラスの遺産もあれば、借金などのマイナスの遺産もあります。
通常、借金を清算しても金銭や不動産が手元に残る場合にはそのまま相続しますが、貯金などよりも借金が多い、もしくは借金しかないと言った場合には、「相続放棄」と言う手続きをして、故人の遺産を一切相続しない手続きをします。
死亡事故では早急な相続手続きが必要
では、死亡事故の被害者に多額の借金がある場合には、相続放棄をした方が良いのかと言うと、一筋縄ではいきません。
仮に死亡事故の被害者をAとし、妻をB・子をCとします。
Aは時価1000万円の持ち家がありますが、同時に2000万円の借金があった場合、BとCは2000万円の借金を返済して自宅を確保するか、自宅を売却して残りの1000万円を返済しなければいけません。
もし子のCが相続放棄をすると、Bのみにそれらの相続が行きます。
この場合、通常ならばB・Cともに相続放棄をした方が良いのですが、相続放棄をしてしまうと死亡事故の請求権も放棄してしまうことになるため、加害者の保険会社から保険金を受け取ることができません。
そうすると、死亡保険金を受け取るために相続放棄をしない方がいいかというと、死亡事故の被害者の年齢や年収、過失相殺により、借金よりも多くもらえるとは限らないからです。
そうならないためにも、相続放棄する前に故人のプラスマイナス両方の遺産の調査をした上で、死亡事故の保険金がどのくらいになるか正確に計算する必要があります。
ですが、相続放棄をするのには期限があり、被相続人が亡くなったことを知ってから3カ月ですので、通常であれば死亡日から3カ月しかないことになります。
しかも、加害者の保険会社から連絡があるのは葬儀の一つの区切りの四十九日を過ぎてからになりますので、保険会社の連絡を待ってからでは1カ月ほどしか余裕がないことになります。
死亡事故の被害者家族の中には、事故直後に消費者金融の多額の借金が発覚し、あわてて相続放棄をしてしまい、後に死亡事故の保険金が受け取れないことが分かり、途方に暮れてしまうというケースがあります。
そういうことが起きないためにも、交通事故直後から弁護士に相談をして、相続・交通事故の示談交渉を同時に依頼する方が良いでしょう。
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家族が死亡事故の被害者となり、相続放棄をする場合、相続放棄の期限が死亡したことを知ってから3か月なので、死亡事故の場合は早期に弁護士に相談するとよい。
介護人が死亡事故に遭うと、被介護人の処遇が問題となるが、保険会社からの介護料の補填はないので、通常の保険金で被介護人の処遇を考える必要がある。
家族が死亡事故に遭った場合は、いち早く弁護士に相談するのが望ましい。大切な人を死亡事故で亡くしたなかで冷静に判断するのは難しいものの、弁護士選びは慎重に行わないとならない。
死亡事故の損害賠償請求は、亡くなった方の相続人が行う。複数の相続人がいる場合は、相続人の代表者が加害者側の保険会社と示談交渉することになる。
死亡事故での相続の場合、損害賠償が莫大な金額となったり、連帯保証人となっていたりする場合には、相続放棄をした方がいいことがある。